アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 752

【公判調書2360丁〜】

                     「第四十六回公判調書(供述)」

証人=鈴木 彰(四十四歳・埼玉県警察官)

                                           *

石田弁護人=「発見場所付近の、発見される直前二、三日間の捜索の実施状況ですが、付近の農家で物を捜すのに便利な道具などを借りたことはありませんか」

証人=「私は借りなかったと思いますが、ほかの人はどうか分かりません」

石田弁護人=「そういう道具を使って捜したのではないのですか」

証人=「道具についてはちょっと記憶ありませんが、棒切れなどでやったことは記憶しています」

石田弁護人=「確か飯野さんの話だったと思いますが、鍬のようなものを借りて捜したこともあるというような趣旨の話があったと思うのですが、そういう記憶はありませんか」

証人=「距離も長いし範囲も広かったし、ちょっと・・・・・・」

石田弁護人=「距離も長いとはどういうことですか」

証人=「捜した場所が固定した場所でなかったような気がします。大体の場所は確か上司から聞いて行ったと思いますが」

石田弁護人=「自ら身体を使って時計を探すという捜査が一つあるわけですね」

証人=「そうです」

石田弁護人=「それから付近の民家を尋ねたというようなこともあるわけでしょう」

証人=「はい」

石田弁護人=「それから、牛乳配達とか新聞配達とか郵便配達とか、その付近をよく通ると思われるような人に対して聞込みをしたこともありますね」

証人=「はい。それから、朝早く通勤するというような人を捜査した記憶があります」

石田弁護人=「そういう捜査は五月中旬からしていたのですか」

証人=「ちょっとそれは・・・・・・・・・」

石田弁護人=「時計発見直前の二、三日間にした捜査は、いくつかの捜査の内のどんな捜査だったのですか」

証人=「通る人の捜査が半分以上を占めていたと思います」

石田弁護人=「自ら発見に努めるという捜索はあなたはしなかったのですか」

証人=「少しやりました」

石田弁護人=「それは何日間ぐらいしたのですか」

証人=「何日とまではいきません」

石田弁護人=「二日か三日ぐらいですか」

証人=「やってもそのくらいだと思います」

石田弁護人=「新聞配達とか、そこをよく通る人とか、そこを通る通勤者などに聞込み捜査を行なうというようなことはいつ頃からいつ頃までやったか思い出せませんか」

証人=「やはりその頃ではなかったかと思います」

石田弁護人=「自ら発見に努める捜索をしたのと同じ時期ですか」

証人=「その頃だと思います」

石田弁護人=「その頃は質屋とか古物商に立ち寄って聞込むという捜査は打ち切られていたのですか、続けられていたのですか」

証人=「その点は分かりません」

石田弁護人=「あなたの経験では」

証人=「やっていなかったかと思います。はっきり記憶していません」

石田弁護人=「時計を発見するための捜索というのは派出所の裏の通りのかなり広い範囲に渡って行なわれたのですね」

証人=「そうです」

石田弁護人=「メートルで表すとあなたの場合、大体どのくらいの間を捜索したのですか」

証人=「捜索の程度にも問題はあると思いますが、四、五十メートルぐらいはやったと思います」

石田弁護人=「それは、裏の通りとその通りにくっついている茶畑、そういうところも四、五十メートルの幅に入るのですか」

証人=「道から畑に数メートル行ったところ辺りまでは見たと思います」

石田弁護人=「その付近の民家の聞込みをしたということも時計に関する捜査としてあなたが従事したことのようですが、小川松五郎という人のところに聞込みに行ったこともありますか」

証人=「ちょっとはっきり覚えていません」

石田弁護人=「時計発見者が小川松五郎さんであるということは。あるいはそれ以外の人かも知れませんが」

証人=「話には聞きました」

石田弁護人=「話に聞いたというのは、普通のニュースで聞いたのではなくて捜査本部とか警察の内部で聞いたのですか」

証人=「そうです」

石田弁護人=「あなたがその話を聞いたのは発見当日のことですか、何日か後ですか」

証人=「ちょっと分かりません。覚えていません」

石田弁護人=「小川松五郎さんにあなた自身が聞込みに行ったかどうか、現在記憶が全くありませんか」

証人=「ちょっと思い出せません」

石田弁護人=「あなたは、時計が発見されたといわれる日ころ、被害者の中田さんの家族から領置調書を取っていませんか」

証人=「はっきり覚えていません」

石田弁護人=「何かの保証書というものを取ったことはありませんか」

証人=「あるかも知れませんが・・・・・・」

石田弁護人=「鞄の捜査ではどんな捜査をしましたか」

証人=「質屋、古物商の関係」

石田弁護人=「時計と同じですね」

証人=「そうです」

石田弁護人=「それは、時計の関係と並行して聞込みをしていたのですか」

証人=「そうです」

石田弁護人=「万年筆についてもやはり一緒に質屋、古物商に当たって聞込みをしていたのですか」

証人=「そうです」

(続く)

                                             *

私は狭山事件公判調書第二審に目を通し、自身がいつ、どの辺りを読んでいたか、また、その内容を脳みそに刻み込むため日々この場に書き写し、裁判記録の記憶を補強させる旨努めている。従って日常生活において、狭山事件に興味を示す者が現われその事件内容について問われた場合、私は時系列的に事件の概要を述べ、補足として裁判官、弁護人や検事による証人への尋問を逐一伝えることが可能である。やがて話は狭山事件が抱える冤罪性へと発展してゆく。しかしながら、概ね相手は目の前から消えており、一人熱く語っていた自分に気づき悲しく薄ら笑いを浮かべたりする・・・・・・。

                                             *

ところで、「射倖心」「嫉妬心」などという、社会で生きてゆく上で排除しなくてはならない感情が存在する。これらの感情に支配された場合、その方の人生は破滅へと向かう。とは言え油断していた私に、それは身近に迫っていた。

この事実は記録しておこう。先日、私の心に射倖心が湧き立ち、2023年10月7日(土)東京競馬場に赴いた。昼過ぎまでに四千五百円程負け、最終レースに望みを賭ける。

馬の分析も大事だが、その馬をコントロールする者の資質も、より重要である。

たびたび人気薄の馬を上位に食い込ませ、まだ幼さの残るその顔からは想像出来ない、才能の非凡さを発揮する佐々木大輔ジョッキー。彼に賭けよう。

無謀かも知れぬが、十番人気(佐々木大輔)を軸に五頭ほどを「馬単」という投票券で購入した(写真)。

中でも本命は、真っ先に記入した「8-11」であり、私としては佐々木大輔ジョッキー(8)が一着、クリストフ・ルメールジョッキー(11)が二着という推理である。

結果、レース結果は11-8であった。

単勝11-8の配当は¥26.250である。

半馬身差でクリストフ・ルメールが差し切った・・・。

ゴールがあと五メートル短ければ・・・。

いや、なぜ保険として逆順である11-8を買っていなかったのか。しつこいが、馬単11-8の配当金は¥26.250である。

だがあくまで最終レースでは、私は8(一着)-11(二着)を期待したものなので、11-8という結果に対する嫉妬心、射倖心は地団駄を百回踏み、歯軋り一万回ほどで消し去ることに成功する。