アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 799

腕時計発見現場(写真右端、ト印下)。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用。

【公判調書2473丁〜】

                   「第四十八回公判調書(供述)」

証人=石原安儀(五十七歳・警察官)

                                            *

石田弁護人=「時計の捜索というのはそうしますと三組で六人の警察官がいわば時間をほぼ同一にしてなさったんですか」

証人=「ええ、だから大体その上司からこのT字路の所へ捨てたということですから大体それをあれしてですね、三つに切ったわけですよ。要するにT字路になっていますから右と左と前という、それでやったわけです。それでやったんだけれども見つからないと。だから見つからないから日が経っているから、これは誰かに拾われたんじゃないかというようなことを私思いまして、よし、それじゃとにかく手分けで戸別に一つ聞込みをしようと、まあ拾って持ってる人でもいれば一つそれを出してもらうと、そういうことですね。田中のあの現場の周辺をこれは戸別にその時計を、要するに拾ったかどうかという点で」

石田弁護人=「聞込みをやったと」

証人=「そういうことです」

石田弁護人=「そうしますと結局、捜索した結果見当たらないので」

証人=「そういうことです」

石田弁護人=「その聞込みに移ったと」

証人=「そういうことです」

石田弁護人=「だから時間的に言えば捜索の方が聞込みより先だということかね」

証人=「もちろん先です。見つかってしまえば世話なかったんだけれども、見つからないのでしょうがないから拾われたんじゃないかと言って始めたわけですから」

石田弁護人=「そうすると聞込みはその付近の人たち、その付近の人家をくまなく聞込みをされたわけですか」

証人=「そういうことです。それとですね、私はこれは記憶なんですが、新聞配達やら恐らく牛乳配達とか、こういう方にまで恐らく手をのばして聞いたんじゃないかと思いますね」

石田弁護人=「あの捜索をした日と聞込みをされた日は違っておりますでしょうか、それとも同一の日もあったんでしょうか」

証人=「同一の日とその翌日あった、私は二日くらいやったんじゃないかと思います」

石田弁護人=「二日くらいというのは大体六月のうちですか」

証人=「六月のうちです」

石田弁護人=「末頃と聞いていいですか」

証人=「ええ、末とだいたい私確信を持っていますね、二日に事件があったんで、その前だということですから、飯能へ私行ってますから、六月の末で間違いないです。もし間違ったって一日か二日です。そんなに十五日も二十日も狂うはずはありませんから」

石田弁護人=「何か七月一日まで捜されたというようなことはないんですか」

証人=「さて、その点は記憶ありません。二日はとにかくあれへ行っちゃったんだから」

石田弁護人=「その前日までは捜していたわけなんでしょうか」

証人=「その点がはっきりしませんけど、その前日私は二日くらいきりやらないように思ったんだけど、これは記憶にありません」

石田弁護人=「捜した結果は」

証人=「見つからないんです」

石田弁護人=「見つからないことをも含めて、捜した状況、それから内容、その捜した結果、それらを含めてすべて書類に書いて捜査報告のような形で上司に報告しておりますでしょうか」

証人=「その点は恐らく結果の報告だからやったんじゃないかと思いますけれども、これも断定というわけにはいきません」

石田弁護人=「その時、捜索に行かれた際に写真などもお撮りになっていますね」

証人=「・・・・・・記憶にありません」

石田弁護人=「カメラをあなたなり他の五人の人なりが持って行ったという記憶はどうですか」

証人=「私は持って行きませんけれども・・・・・他の人もカメラについては記憶ありません」

石田弁護人=「聞込みはまあ付近と言ってもいろいろ現実にはあるわけなんですが、あなたの場合何軒くらい」

証人=「恐らく私の場合は二十軒くらいは優にやってますね」

石田弁護人=「それ、聞込みやったのは一回だけではないんですね」

証人=「だからその二日くらいの間にわたってやったから、一軒の家へ行っても留守の場合もあるし、一人しかいない場合もありますから、必ず一度ということじゃなくて、二回三回行った家もあると思いますね」

石田弁護人=「検察官が手元に持っている書類の一部を私どもが見た範囲の中では、あなたは六月二十九日、六月三十日、七月一日の三日間、時計の捜索に従事しておるようですが」

証人=「そうすると三日なんですね、記憶ですから」

石田弁護人=「書類にして出しておるんでしょう、上司に」

証人=「その点は」

石田弁護人=「も、記憶がないんですか、やっぱり」

証人=「ええ、記憶ないですね」

石田弁護人=「時計の発見者」

証人=「小川松五郎さんですか」

石田弁護人=「ええ、その方はあなた聞込みをされたでしょうね」

証人=「されないです、行かなかったです」

石田弁護人=「ご老人だし、昼間仕事に出るということもなかったようですがね」

証人=「ですから聞込みを大体やるにしてもこの道なりあれでこっち方面あっち方面ということで、あまりダブらないような方法でやりますから、私小川松五郎さんの家は行った記憶はないんですけど」

(続く)