アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 754

(狭山事件地図。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用)

【公判調書2364丁〜】

                    「第四十六回公判調書(供述)」

証人=鈴木 彰(四十四歳・埼玉県警察官)

                                           *

中田主任弁護人(以下、中田弁護人と表記)=「一般的聞込みという捜査と特命捜査みたいなものがあったのでしょう」

証人=「そうです」

中田弁護人=「車についての聞込みを何回かしたというのは、今言ったような分け方をすると特命があってでしょう」

証人=「そうです」

中田弁護人=「何回かに分けてポツンポツンという形で特命があったのですか、あるいは一定期間聞込みの特命があったのですか」

証人=「一定期間というか、二、三日あるいは数日の間だけだったと思います」

中田弁護人=「たとえばトヨペット何年型の車を捜せとか、あるいはどこそこを通った車を捜せとかいろいろあるでしょうが、あなたはどういう事項について調査するように言われたのですか」

証人=「三輪車だったと思います思います」

中田弁護人=「三輪車の何を調べようとしていたのですか」

証人=「忘れました」

中田弁護人=「おそらく捜査の過程で、あまり見かけない三輪車がどこかに置いてあったとか、あるいは女学生らしい者が三輪車に乗ったとか、やや特異な情報があったから三輪車に関する特命が出たのだと思うのですが、あなたは、たとえば車について持ち主を調べようとしたのか、どこか一定の場所と関係して車を捜そうとしたのか、あるいは何かの情報に関する車の型などを捜そうとしたのか、そういう風な区別でも思い出せませんか」

証人=「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

中田弁護人=「思い出しませんか」

証人=「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

中田弁護人=「あなたは山本製作所というのがあるのを知っていますか」

証人=「山本製作所ですか・・・・・・・・・」

中田弁護人=「この事件の捜査の過程で薬研坂という地名が出たことがありますね」

証人=「薬研坂は覚えています」

中田弁護人=「何回も通ったでしょう」

証人=「通りました」

中田弁護人=「当初被害者が学校に届け出ていた通学路は薬研坂だったわけですね」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

中田弁護人=「西武線入間川駅から薬研坂の方、入曾の方に向かうかなり広い道がありますが、わかりますね」

証人=「わかります」

中田弁護人=「その道を行くと山本製作所というのが左手にあって、そのちょっと先を左に折れると薬研坂へ行くのですが、その道の途中の左側の方に小さなお寺があるのを知りませんか」

証人=「記憶していません」

中田弁護人=「あなたはこの事件の捜査の過程で供述調書を作成したことがありますか」

証人=「参考人から調書を取ったことがあります」

中田弁護人=「何という人のか覚えていますか」

証人=「覚えていません」

中田弁護人=「どういう関係かも覚えていませんか。たとえばあなたが先ほど言った時計とか鞄とか万年筆とか、あるいは死体の足を縛ったり首を縛ったりした縄や紐があるのですが、そういう事項別にいっても思い出しませんか」

証人=「時計の側の製作所からは取った記憶があります」

中田弁護人=「どこかへ行ってですか」

証人=「そうです。東京だったと思います」

中田弁護人=「東京の神田ですか」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

中田弁護人=「側か何かを調べに行ったわけですか」

証人=「そうです」

中田弁護人=「ともかく、山本製作所というのと狭山精密というのがあるのですが、狭山精密と言えば分かりますか」

証人=「記憶していません」

中田弁護人=「入間川の駅から入曾の方、つまり薬研坂の方へ向かって行く広い道の付近で自動車のタイヤ痕が発見され、それに関連してあなたが先ほどから言っていた車の捜査をしたのではないですか」

証人=「そうではないように記憶していますが、はっきり覚えていません」

中田弁護人=「いずれにしてもあなたは車については農家を多く調べたわけですね」

証人=「車のことは何回もやりませんでした」

中田弁護人=「しかし車のことで調べた対象は農家が多かったわけでしょう」

証人=「そうです」

中田弁護人=「当時あの辺の農家では自動車は、多く三輪車を使っていたようですね」

証人=「多くというとちょっと分かりませんが、三輪車はありました」

中田弁護人=「あなたは聞込みの結果、当然にそれらの農家の人が事件の発生した五月一日にその車を使ってどこに行ったとか何をしていたとかいうようなことは聞いたでしょう」

証人=「そうです」

中田弁護人=「それらのこともまた捜査報告書には書いているわけでしょうね」

証人=「やれば書いてあります」

中田弁護人=「特命捜査というのは、ある事項について捜査するようにと命ぜられるについて、それが捜査の上でどういう意味を持つかということを通常は説明されるのではありませんか」

証人=「説明されます」

中田弁護人=「そうでないと調査のポイントが分からないでしょうからね」

証人=「そうです」

中田弁護人=「車に関してはどういうことを目的として何のために調査したか思い出しませんか」

証人=「思い出せないです」

(続く)