【公判調書2459丁〜】
「第四十八回公判調書(供述)」
証人=梅沢 茂
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中田弁護人=「あなたは石川君の供述調書を何通作られたか覚えてませんか」
証人=「覚えておりません」
中田弁護人=「今のは六月二十三日付であなたは作っておられるが」
証人=「はい」
中田弁護人=「というからは石川君はすでに川越警察の分室へ移監になっている時期なんですよね」
証人=「はい、はあ、はあ」
中田弁護人=「あなたはその調書の謄本をどこで作ったんでしょうか」
証人=「どこで・・・・・・、さあ、ここに書いてありますね、川越警察署分室と」
中田弁護人=「それは原本の作成場所でしょう。あなた自身が謄本を作った場所はどこかと」
証人=「ちょっとはっきりしませんが」
中田弁護人=「堀兼にあった捜査本部で作ったのか、川越分室に行って作ったのか、あるいはそのほかの場所か」
証人=「それも両方で仕事をしてましたから、堀兼に行ったり分室に行ったりしてましたからどこで作ったのか・・・・・・。堀兼の捜査本部だったでしょうね、これは」
中田弁護人=「ちょっと、とびとびになってしまうんですが、さっきの特別重要品触を作った場所はどこか覚えてますか」
証人=「これは警察本部の捜査一課の中ですね」
中田弁護人=「あなたがまだこの事件の捜査のために狭山の方に来る前ですか」
証人=「いや、行ってからですね」
中田弁護人=「あなたが書類を作ったり整理をしたり何かの聞込みに行ったり、物(ぶつ)を捜しに行ったりというのは当然のことでしょうけれども、その時々に上司から命ぜられて行ったわけですね」
証人=「そうです」
中田弁護人=「警察の通常のやり方によると、その当日どういう仕事をするかということは当日になって指示されることが多いんでしょうか」
証人=「そうですね」
中田弁護人=「そして大体二人くらいで聞込みの場合は回るということになるんでしょう」
証人=「そうです」
中田弁護人=「指示された仕事を行なった場合には大体その日のうちに捜査報告書を出すというのが決まりみたいなものでしょう」
証人=「そうですね」
中田弁護人=「あなた方は帰って来て、例えば堀兼の捜査本部に帰って来て捜査報告書を書いて、あなたに命令を出した上司にそれを渡すんですか」
証人=「そうです」
中田弁護人=「清水利一さんから命ぜられた場合には清水さんに渡す」
証人=「原則はそうです」
中田弁護人=「あなた方の報告に基づいて、この事件に関してあなた自身が捜査会議と呼ばれるものに出たことはありますか」
証人=「捜査会議には出たことありません」
中田弁護人=「一度もない」
証人=「はい」
中田弁護人=「例えば中さんにせよ、あるいは竹内狭山署長などが加わった、捜査の幹部がやるような捜査会議に呼ばれたこともないですか」
証人=「ありません」
中田弁護人=「当然そういう幹部による会議は開かれていたんでしょう」
証人=「会議は開かれていましたが、初めのうちは、庶務をやっているうちは話の内容は分かってましたけれども」
中田弁護人=「庶務の仕事を離れて以来、捜査会議でどういうことが議論されたりどういう点が問題になったりということは、あなたなどには分からないんですか」
証人=「分かりません」
中田弁護人=「あなた方としては、ただその都度その都度言われることに従うだけですね」
証人=「そうです」
(続く)