アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 695

 

(狭山事件裁判資料より)

【公判調書2187丁〜】

                  「第四十四回公判調書(供述)」②

証人=清水利一(五十六歳・会社員)

                                         *

石田弁護人=「最初その捜査に関与されるようになったのは、いつ頃からでしょうか」

証人=「事件が発生しまして、善枝さんの死体が見つかった翌日からじゃなかったかと記憶してます。ですから、その前の捜査は全然タッチしておりません」

石田弁護人=「昭和三十八年の五月の四日の日に死体が発見されたということですから五日頃と聞いていいですね」

証人=「多分死体が発見されたんで私は動員されたと思います。その前は栃木へ出張しておりました」

石田弁護人=「捜査に加わるについては、誰かから命令を受けたわけですか」

証人=「私は、今もちょっと申上げましたが、蕨の自動車強盗の事件で栃木へ出張しておりまして、多分二日ぐらい泊り込みで向こうへ行ったと思います。帰ってきて一日休んだわけです。そしたら電話がありまして、中(勲)捜査一課長でした。すぐ堀兼の駐在所へ来いというので、それで私は大宮から車駆って行きました」

石田弁護人=「堀兼の駐在所といいますと、当時特別捜査本部が設置されたばかりの頃だったですね。そこに」

証人=「そうです」

石田弁護人=「そこであなたはどんな任務を受持ちましたか」

証人=「あのとき、課長、次席のほかに警部を、捜査一課の警部全部動員されましたから、私のやった仕事は全捜査員の勤務割、それから記録の整理、それから自分のところにいく人かまた部下の指揮監督、それから大体そんなようなことだったと思います」

石田弁護人=「あなたの所にいた部下というのは何名ぐらいだったですか」 

証人=「私の所にいたと言いましてもそれは捜査に毎日出るわけじゃないですから、三十人くらいおったんじゃないかと思います」

石田弁護人=「たとえば小島朝政さんなんかはあなたの部下ですか」

証人=「警部ですから同僚でございます」

石田弁護人=「将田さんなんかも同僚ですか」

証人=「将田さんはそのとき次席で警視ですから上席です」

石田弁護人=「あなたは、のちに石川一雄君が逮捕されてからその取調べに当っておるようですが、たとえばあなたと一緒にその取調べに当った中にあなたの部下が入っておりますか」

証人=「遠藤三警部補、あと、立会いしていた刑事さんの名前はちょっと忘れましたが」

石田弁護人=「清水輝雄さんなんかは、あなたの部下ではないのですか」

証人=「あの人は違います」

石田弁護人=「若干その点でお伺いしておきますが、井上熊造さんなんかはあなたの部下ですか。巡査部長で捜査一課の」

証人=「部下ではありましたけれども私の直接の、ということではなかったように思います」

石田弁護人=「この事件の捜査ではいなかった記憶ですか」

証人=「私の手元にはいなかったと思います」

石田弁護人=「今井峯作さんという巡査部長はどうですか」

証人=「これも私の直接のではなかったです」

石田弁護人=「今井さんも本務は捜査一課だったわけですね、本部の」

証人=「捜査一課です」

石田弁護人=「それから、野本定雄さんはあなたの部下ですか」

証人=「野本さんは私のところにもいたし、あっちこっち行ってましたからで、勤務割というのをちょっと申上げておきますが、毎日のように変わりますから、その捜査の状況によって変わってきますから、ここにこれが付きっきりということは殆どないです」

石田弁護人=「しかし、狭山事件の特別捜査本部の中での、あなたの仕事の上での一番密接だった部下というようなものは何人かおられると思うんでお伺いしているのですが」

証人=「福島英次部長なんかが多分そうだったです」

石田弁護人=「そのほかには、梅沢茂さんなんかはどうですか」

証人=「いったかもしれませんが、私の手元にいたのは、あの時は、捜査本部でも各警察から百人くらい動員しましたから、私のところは案外自分の課の部下よりかも、引き揚げた刑事さんが割合多かったと思います」

石田弁護人=「石原安儀さんなんかは」

証人=「彼も一応部下でしたけれども、直接私のところではなかったです」

石田弁護人=「大宮署の吉田良叙さん、その方はどうでしたか」

証人=「吉田さんも直接私のところでは、・・・・・・同じ捜査本部ではなかったように思います。或いはいたこともあったかも知れません」

石田弁護人=「飯塚栄一さんというのは部下ではないんですか」

証人=「これは部下じゃございません。これは要するにスタッフのほう。あの方は当時、外勤課長で助勤という形で多分スタッフにいたと思います」

石田弁護人=「スタッフのほうで、ラインのほうではないんですね」

証人=「そうです。中課長を補佐したほうだと思います」

(続く)