アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 688

(狭山事件裁判資料より)

【公判調書2160丁〜】

                  「第四十三回公判調書(供述)」⑮

証人=中  勲(五十七歳)

                                          *

宮沢弁護人=「初動捜査の頃、被害者が生きている場合と死んでいる場合の両方を想定して両面捜査をした、と言いましたね」

証人=「これは当然だと思います」

宮沢弁護人=「死体が発見されてからは殺人事件を主体に捜査をしたわけですか」

証人=「そうです」

宮沢弁護人=「五月二十三日、石川君が逮捕された段階における捜査も死体発見後のものですね」

証人=「そうです」

宮沢弁護人=「すると、捜査本部としては殺人、強姦、死体遺棄等に重点を置いて捜査した、ということになりますね」

証人=「そうです」

宮沢弁護人=「あなたは脅迫状の実物を見ましたか」

証人=「見ました」

宮沢弁護人=「『少時様』というのが『中田江さく』となっているが、あなたの勘では両方の筆跡は同じ人の筆跡だと感じられましたか、それとも別の人の筆跡だと感じられましたか」

証人=「勘では一応同じように見ました」

宮沢弁護人=「今日の証言の中で、山小屋と少時様のことについて照会したと言ったが、それは一緒に照会したのですか、別々に照会したのですか」

証人=「この前出廷した時、少時という人が実在しているというように受け取ったものですから、それから間もなく刑事総務課に行って聞いた、という気がします。山小屋のことははっきりしなかったので電話をかけました。勤務先がすぐ近所でしょっ中顔を出しているところなので、いつどういう話をしたかははっきりしません」

宮沢弁護人=「その他にもこの狭山事件について捜査課なり刑事総務課なりに行ったことがあるのですか」

証人=「この事件に関してでなく、私は一課長や鑑識課長もやっており古巣であるし、まだ昔の部下もいるので、たまにはお茶を飲みに行ったりしているのです」

宮沢弁護人=「あなたは、先ほど話に出た大野巡査部長の実況見分調書を見たことはないのですか」

証人=「私は、サインはしたと思いますが内容を立ち入って見たような記憶はありません」

宮沢弁護人=「あなたは引越しのときに記録を処分したということだが、その記録の中にはその実況見分調書も入っていたのではありませんか」

証人=「はっきりしません。膨大なものでしたから」

宮沢弁護人=「竹内署長が新聞記者会見から外された理由として、新聞記者からいろいろ突っ込まれるというようなことがあったから、というような趣旨の証言がありましたが」

証人=「外されたのではありません。最初私があまりに忙しいので本部長が見兼ねてしばらく竹内署長にやらせたのですが、その後、竹内さんを外したわけではありません」

宮沢弁護人=「竹内署長が記者会見をしていて何か不都合なことがあったようなことはないのですか」

証人=「不都合は別にありません」

                                         *

山上弁護人=「あなたは、少時という人が実在しているかどうかということを確かめに行ったのですか」

証人=「はっきりしません。しょっちゅう行っているので、その時出たと思います」

山上弁護人=「それは、この前あなたがこの法廷で証言した時より前ですか後ですか」

証人=「後です」

山上弁護人=「刑事総務課では少時という人が実在しているかと問われてすぐに答が出ましたか」

証人=「ええ、もう調べてありました。私は場所を忘れたので、きのうも場所はどこだっただろうと電話で書いたのですが、場所は大分離れている、ということでした」

山上弁護人=「刑事総務課でどういう尋ね方をしたのですか」

証人=「言葉は忘れました」

山上弁護人=「答は調べた上で出たのですか」

証人=「刑事総務課の庶務で知っていました」

山上弁護人=「答が出るのに何分ぐらいかかりましたか」

証人=「さあ、時間はそんなにかかりませんでした」

山上弁護人=「死体を発見した場合、そこから出た物については一応納得のいくまで事件との結び付きを追及するものですか」

証人=「一応やります。結論が出ないものも時にはあります」

山上弁護人=「玉石は対象にならなかったのですか」

証人=「はっきりした記憶がありません」

山上弁護人=「現場から出た物は納得のいくまで追及する、という証言でしたね」

証人=「はい」

山上弁護人=「玉石、棍棒は納得のいくまで追及しなかった例だ、という風に聞いていいですか」

証人=「分かりません。私は記録を持っていませんから」

(続く)