(以前にも訪れた、独特な雰囲気を醸し出す場所である。奥に見えるのは墓である。夜、ここを一人では歩けまい)
狭山の黒い闇に触れる 179
- 判別因子の効率 - 「再び血液型の例を借りる。両親から推して、甲家の子供はA型ばかり、乙家の子供はO型ばかりでなければいけないという類いの場合がある。この場合には子供(イ)は、そのどちらかの型でなければならない(前提)ので、帰属は截然として決まる。血液型は、この場合の判別因子として効率が良いといい、判別因子は両家で(A型とO型に)完全な分極性を示す、という。しかし、もしも両親から推して、甲家の子供はA型1、O型1の割合、乙家の子供はA型1、B型1、AB型2の割合でなければならない場合には、A型は両家の子供にまたがって現れ得るので、子供(イ)がA型の場合には、彼が甲家の子供である確率が(両家の子供が同人数ならば)三分の二、乙家の子供である確率が三分の一、という様に一応の推定は出来ても「決定」は出来ない。血液型という判別因子は、この場合効率が良くないといい、A型を共通に持つ点で分極性が不完全であるという。さらに両家の血液型が共通である場合には、血液型は判別因子として無効であることは言うまでもない。もしも一連の判別因子の中に、完全な、あるいは優れた分極性を示すものがない場合、鑑定者は新しい別な判別因子を探し、これが見つからなけば鑑定を抛棄すべきである。さらに『推定』と『断定』とは全く関係のない両概念であって、『断定』を要求された場合には、いかに優れた分極性を示す判別因子によったとしても、それが(初めの例のように)完全に分極性を示すことが証明されない限り鑑定を拒否すべきである」(続く)