アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 66

石川被告は長谷部警視から「やったと言えば十年で出す」と言われたと主張するが、長谷部警視はそれを否定する。否定する根拠の一つとして次の事柄を述べる463丁「石川が○○ちゃん(被害者名)殺しの容疑で逮捕されたその当時の取調主任官が、石川を取調べておりますが、石川は自供しない、そこで私は、この事件は証拠も少ないし、面倒である。この事件の取調主任官は熊谷の二重犯人逮捕事件の責任者であったから、若しこの事件が裁判所へ行った場合、こういう取調主任官が調べたんだから無理があったんではなかろうかと思われてはいけないから、この際、取調主任官をかえたらいいだろう。静岡県の二保(山口県の誤りと思われる:筆者注)、幸浦事件が夫々、最高裁判所でくずれているので、上司にそのことを話して、結局取調主任官をかえてもらったわけです。そういうことを上司に上申した私が、石川に、十年で出られるとか、真実のことを言わなければどうのというようなことは言う筈がありませんし、言ったことはありません」・・・。ここに登場する取調主任官とは清水利一警部である。この方については佐木隆三「ドキュメント狭山事件」にて詳しい。熊谷事件と題し、その冤罪が醸成されてゆく過程が狭山事件と見事に共通する様を見せてくれる好書である。さて長谷部警視の述べたことに関して。確かに障害物を排除したことは正解であるが、しかしそれが自らの正当性を証明することには繋がらない。所詮、清水利一と同じ枠に居る者として奸計の種類が違っただけであろう。むしろ「私ならより完璧に仕上げられる」との自負に基づいた動きであったと言ったならば、やや言い過ぎか。この件は次回に続く。                                                                    

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(映画に登場するティーゲル戦車は実物である。だが今ここで、ティーゲル戦車の砲塔重量が11トンあり、これを1分で全周旋回させるにはエンジン回転数を1.500回転回さないと・・・だとか、あるいは砲塔旋回手段が、エンジン動力を用いた機力旋回とハンドルを回す人力旋回の二通り備わっている・・・などと語るのはよそう)