アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 920

当時の佐野屋周辺。写真上部に石田養豚場が確認できる。

【公判調書2909丁〜】

                    「第五十五回公判調書(供述)」

証人=石田一義(三十五歳・養豚業)

                                            *

石田弁護人=「ところであなたのお兄さんの登利造さんは何年か前にお亡くなりになったようなんですが」

証人=「はい」

石田弁護人=「それは何年くらい前ですか」

証人=「それは関係ないんじゃないんですか」

石田弁護人=「亡くなられてますね」

証人=「ええ、そういうことは関係ないんじゃないんですか」

石田弁護人=「身内の不幸を聞くわけですから言いたくないかも知れませんが、何か普通の病死だったんですか、何かで亡くなられたんですか」

証人=「ええ、そうです」

石田弁護人=「列車事故で」

証人=「ええ」

石田弁護人=「それは言いにくいかも知れませんが投身自殺のようなことはありませんか」

証人=「ええ」

石田弁護人=「ええ、というのは、投身事故というようなことはないと思っているんですか」

証人=「いいえ、そうだということです。自殺です」

石田弁護人=「現在記憶が薄らいでいるかも知れませんが、警察官や検察官にあなたが逮捕される前と、逮捕されてからも含めて何回くらい取調べを受けたか覚えてますか」

証人=「覚えてないですね」

石田弁護人=「相当多い回数であることは間違いないですね」

証人=「そうですね」

石田弁護人=「石田登利造さんも調べを受けたというようなことがあるのかないのかご存じですね」

証人=「そうですね、まあ呼ばれてちょっとくらい聞かれたと思いますけれども、そのほかはないと思います」

石田弁護人=「あなたの奥さんも警察や検事さんから調べを受けたことがありますか」

証人=「調べはないと思います」

石田弁護人=「聞かれたことない」

証人=「聞かれたことはあると思います」

石田弁護人=「まあ佐野屋に近いということも手伝っていたとは思いますけれども、そういう調べを受けてる中で自分にも何か疑いがかけられているんではないかということは感じましたか」

証人=「感じません」

石田弁護人=「感じない理由はどういうところにありましたか」

証人=「別に理由ってないですけれども、自分でよく知ってますから」

石田弁護人=「五月一日と二日の日のことをよく聞かれたんじゃないんですか」

証人=「ええ、聞かれるには聞かれました」

石田弁護人=「それは逮捕される前も聞かれましたね」

証人=「ええ」

石田弁護人=「調べられたことは警察官、検察官は書類に、供述調書というのにしてあなたに拇印を押させ署名拇印を求めたこともありましたね」

証人=「ええ、ありました」

石田弁護人=「相当多い回数になりますね」

証人=「そう思います」

                                            *

橋本弁護人=「五月一日、その頃のことを聞きますが、あなたの他にあなたの家の近くで豚屋を経営している家はありましたか」

証人=「はい」

橋本弁護人=「何という家ですか」

証人=「木村さんという人です」

橋本弁護人=「住所はどの辺ですか」

証人=「佐野屋さんの西の方ですから狭山市入間分になると思います」

橋本弁護人=「大体どれくらいの距離」

証人=「二百メートルくらいじゃないですか」

橋本弁護人=「その家はやはりあなたと同じような養豚業ですか」

証人=「養豚じゃないんです。家畜商です」

橋本弁護人=「ブローカーみたいな」

証人=「いいえ、自分で豚を買って来て」

橋本弁護人=「自分の家に豚を置いている」

証人=「はい」

橋本弁護人=「何頭くらいいたんでしょう、その頃。五月一日、二日頃おりましたか、豚は」

証人=「さあ行きませんから」

橋本弁護人=「その人以外に、あの付近でお百姓さんでも豚を飼っている人がおりましたか」

証人=「家のほうてば(原文ママ)案外飼っておりますから、どこがどうだとは」

橋本弁護人=「飼っている人はいた」

証人=「ええ、いたと思います」

橋本弁護人=「五月二日の晩に豚の子どもが生まれたという家はありませんか」

証人=「さあ分かりませんね」

橋本弁護人=「お宅では」

証人=「家では全然生まれないです」

橋本弁護人=「普通の農家で豚を飼っている家、あなたの近所でそういう家は知りませんか」

証人=「知らないことはないですけれども」

橋本弁護人=「当時」

証人=「どこに何頭かということは分かりません」

橋本弁護人=「こういう家では飼っていたという程度で構いませんけれども。名前と」

証人=「名前は大体分かりますけれども、佐野屋さんの近所ですか、横山かずおさんという家では飼ってました。その近所はずっと飼ってます。一、二頭は必ず飼ってますから。名前はちょっと全部は分からないですけれども」

橋本弁護人=「横山かずおさんの家は佐野屋からどっちの方角ですか」

証人=「佐野屋さんとは向かいくらいですね、道の北側ですね」

橋本弁護人=「距離にするとどれくらい」

証人=「さあ、百メートルくらいじゃないですか」

(続く)