アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 894

事件当時の石川一雄さん宅(1963年6月18日撮影)。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用。

【公判調書2786丁〜】

                     「第五十三回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳・飯能警察署勤務、警部補)

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宇津弁護人=「前にも聞いているので詳しくは言いませんが、あなたは本件発生して一審の判決があるまでの間、石川君宅に何回足を運んだ記憶がありますか」

証人=「それも前に、先生にそれを聞かれたんですが、はっきり覚えておりませんが、四、五回は行ってると思います」

宇津弁護人=「石川君のお母さんがお風呂場で洗濯していたような時に行かれたこともありますか」

証人=「洗濯ではなく、裏の部屋の中に立ってたです。私が行った時には」

宇津弁護人=「裏の部屋というと、台所ですか」

証人=「いや、そうじゃない、道から入ると庭になってまして、左側が玄関で、右側の方がお勝手の方の部屋だったわけです。で、私が道から庭に入って行った時に、お勝手の方に立っていたことがあります」

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裁判長=「最初、裏の部屋に立っていたと言うんじゃないの、それと今の、勝手というのはどう違うの」

証人=「部屋じゃなく、勝手です」

裁判長=「最初から勝手の方に立っていたことはあると」

証人=「はい」

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宇津弁護人=「風呂場の方で洗濯して、声をかけてもなかなか返事がなかったということがありませんでしたか」

証人=「洗濯をしてて声をかけてですか・・・・・・」

宇津弁護人=「洗濯かどうかは別として、お風呂場辺りで何かやってて、そこに声を何回かかけてやっと聞こえたという時がありませんか」

証人=「そういうことはないです」

宇津弁護人=「ないということをはっきり言えますか」

証人=「言えます」

宇津弁護人=「じゃ、石川君のお母さんと、あなたの言うお勝手で立ち話をしたことはあるんですか」

証人=「私が庭の方へ、お袋さんが部屋というか、家の中ですが、そこで立ち話をしたことがあります」

宇津弁護人=「私の言う質問は、お勝手にいるお母さんと、お勝手か台所の方かであなたが立ち話をしたことがあるかと、部屋の中で」

証人=「部屋の中はありません」

宇津弁護人=「それじゃ、石川君の下着を持って行ってやりたいがと言った時に、後で持って行くとか何とかで、下着を差し出さなかったということがありますか」

証人=「今、先生にそう言われて思い出したんだけど、そういうことがあったかも知れません」

宇津弁護人=「証人は時計に関して、何か下命を受けてやったことがありますか」

証人=「時計のことは全然ありません」

宇津弁護人=「するとさっきの、六月二十一日付の調書にちょっと戻るんですが、あなたが鞄のことを聞いたり図面を書かしたりというような、いわゆる取調べを行なうようになったのは、誰の指示によるんですか」

証人=「それは飯塚課長です」

宇津弁護人=「青木一夫さんからは直接は、やらなかったんですか」

証人=「はい」

宇津弁護人=「どういう事情であなたに調べるように言ったんでしょうか」

証人=「それは私に竹内署長が、今晩六時頃までに川越の分室へ行って青木課長がいるから、用があるからそこへ行けと、そこへ行って指揮を受けろと、こういうわけだったんです。それで私が大体時間は六時頃だと思うんですけれども、行きましたら、青木課長がいまして、いや、石川君がなんか用があると言うから来てもらったんだと、だからまあ、少し休んでくれ、一服やったら石川君の所へ行けと、こういうわけだったんです。それで私、少し休んでいまして、時間はどのくらいかはっきり記憶ないんですが、少し休んでいたら、じゃあ、行ってみるかと、飯塚課長が言うので、それで取調べの部屋へ行ったんです」

宇津弁護人=「あなた、狭山からわざわざお出かけになったんですね」

証人=「そうです。その当時、狭山署で自分の仕事をやっておりました」

宇津弁護人=「わざわざあなたに白羽の矢が立って取調べに参加するというのは、それなりの事情があってのことだと思いますが、そこを何か、今の、そこはかとないことじゃなく、もう少しあれば率直に述べていただきたいんですが」

証人=「私は、署長から言われて、今晩行けと言うんだけど、実はその時、前ならば堀兼の向こうにいましたが、自分の部署に帰ってやってて、何の用があるのかなという感じがあったんです。だけど、行けと署長が言うものですから六時前後に行ったわけです。それで飯塚課長がいまして、今申し上げたように、石川君が何か用があるからと・・・・・・」

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裁判長=「さっきね、竹内署長は、向こうへ行って青木の指揮を受けろと、こう言ったと。それから向こうへ行って、青木が、石川が何か用があるから、そこで休んでいろと、そしたら飯塚が、今度は行ってみるかと言ったというんで、青木と飯塚二人出てくるが、どっちか」

証人=「私は飯塚課長だと思うんです」

裁判長=「最初、竹内署長から青木の指揮を受けろと言われたのか」

証人=「私は、飯塚課長から・・・・・・」

裁判長=「今、竹内署長から青木の指揮を受けろと言われて、向こうへ行ったら、青木から石川が用があるからと言われた、それで休んでから、飯塚が初めて、それじゃ行ってみるかと、それで行ったと」

証人=「それじゃ私の申し上げたのは間違いで、最初から飯塚さんです」

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(続く)