先日、私は密かに野良猫の集会に参加していた。白い猫の影はやたらと濃いなと思いきや、これも猫であった。この集会には七匹の猫が出席していたが、なぜかこの二匹は常に密着し行動していた。
ぷっ、尻尾が繋がっている・・・。
【公判調書2764丁〜】
「第五十二回公判調書(供述)」
証人=関 源三(五十五歳・飯能警察署勤務、警部補)
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宇津弁護人=「あなたは六月二十一日付の、この今の調書を作って図面も綴じ込んで、それからその日はどうしましたか」
証人=「それで鞄を捜しに最初行ったわけです」
宇津弁護人=「図面を持たずに」
証人=「いや、その時これをまた外して行ったんです」
宇津弁護人=「綴じたものをまた外す」
証人=「はい」
宇津弁護人=「それであなたはゴム紐を発見したということでありますね」
証人=「はい」
宇津弁護人=「それからその後にそれと同じ所から教科書なども発見されておりますね」
証人=「それは後で聞いたんです」
宇津弁護人=「発見されたということになっているでしょう、教科書」
証人=「はい」
宇津弁護人=「後であっても、それはどこから出てきたのかなということは同時に聞いておるわけですか」
証人=「あの辺ということだけは聞きましたけど、どこだか場所は分かりませんです」
宇津弁護人=「でもこの鞄を捨てた場所はどこかということで、調書をとる頃は自分の発見したゴム紐の場所はどこであり、その後発見されたと言われている教科書の場所はどこであるということを知りながら鞄はどこだという風にやっておったんじゃないの」
証人=「教科書のことは全然私は知らなかったんです。それで後でどこそこから教科書が出たということを聞いたわけです」
宇津弁護人=「そのどこそこから出たというんだからおよその場所はあなたはその時点では了解しておったんでしょう」
証人=「大体あの辺かなということは場所は分かりませんけれども、あのだろうという見当はついていました」
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裁判長=「今、弁護人の問いに対する答は、同じ二十一日にあなたの図面を持って鞄のありかを捜しに行った時には、どの辺から教科書が出たんだという大体の見当はついていたんだという答ですか」
証人=「二十一日には全然教科書のことは知らないんです」
裁判長=「そこをはっきりさせなければいけない。あなたの今の供述を聞いていると、二十一日に鞄を捜しに行った時には教科書はもうすでにどこの辺から出ているんだということを聞いて大体知ってたという風に聞こえるんだな」
証人=「二十一日は知らないんです」
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宇津弁護人=「いつ知ったんですか」
証人=「それからしばらく経ってからです」
宇津弁護人=「いつから数えてしばらく経ってからですか」
証人=「二十一日後しばらく経ってからです」
宇津弁護人=「どこで聞いた」
証人=「私が川越の分室にいる時だと思います」
宇津弁護人=「重要な被害品と思われるものが発見されたということ、それがどこで発見されたかということは本部に出はいりする警察官としては当然その時点から遅くない時期に知ってなければおかしいと思いますがね」
証人=「私は全然捜査には関係しないと言えばおかしいですが、最初二日ばかりやった後は炊事当番をやれと言われて炊事当番をやっているわけです」
宇津弁護人=「山狩りもやり、この鞄という被害品とされるものの捜査取調べもやっていることは間違いないわけだ」
証人=「はい」
宇津弁護人=「そういう人が客観的には取調べの前に発見されておることになっておる教科書がどこから出たのか知らないまま二十一日の取調べをしていたんだということは中々人は納得しないと思うが」
証人=「私だけでなく捜査に関係していない人は全然知らなかったと思います」
宇津弁護人=「あなたは捜査に関係しているんじゃないの」
証人=「私は関係したといっても私は二日と三日だけで、あとはよその人の弁当のこととか、そういうことをやって」
宇津弁護人=「重要なことをあなたは調べているんだ、二十一日はそのあなたがしかも鞄ということで調べていたとすれば教科書はその中身じゃないですか」
証人=「いや、鞄のことを私は調べていたんじゃないんです」
宇津弁護人=「鞄のことを調べてそして図面を書かしているんだろう」
証人=「ありますけれども、二十日の日までは私は全然こういうことには交通の方をやっていてタッチしていないんです」
(以上 重信義子)
裁判所速記官 佐藤房美
裁判所速記官 重信義子
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以上で第五十二回公判は終わり、次回から第五十三回公判へと進む。証人尋問されるのは再び疑惑の警察官、関 源三氏である。