アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 882

【公判調書2750丁〜】

                       「第五十二回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳・飯能警察署勤務、警部補)

                                            *

宇津弁護人=「証人は山狩りに参加したのは一日だけという記憶ですか、それとも二日間参加したような記憶があるんですか」

証人=「山狩りは一日だと記憶してます」

宇津弁護人=「山狩りそのものが一日しか行なわれなかったという記憶なんですか」

証人=「いや、四日にやったかどうかは、はっきりしませんです」

宇津弁護人=「そこで機動隊、消防団、それから狭山警察署員ね、大勢、山狩りをしたんでしょうが、全体の指揮者というのはあったんですか」

証人=「全体の指揮者は誰かいたのは間違いないんですけれども、それは私には分からなかったです」

宇津弁護人=「先ほど言いかけられたんですが、山狩りのやり方ですね、どういう方法をとったんですか」

証人=「全部、一列横隊のように並んで、それで東から西に向かって、山をずっと捜して行ったわけです」

宇津弁護人=「その図面に基づいて、どのように一列横隊に並んだことになりますか」

証人=「こういう具合に並びまして、それを西へこう押して行ったわけです」

宇津弁護人=「つまり、頂点は農産物検査所という⑲点がありますね、そこから」

証人=「いや・・・・・・」

宇津弁護人=「この図面に基づいて、大体どの付近からどの付近まで一列横隊に並んだという趣旨で言って下さい」

証人=「この辺からこの辺までだと思います」

宇津弁護人=「この図面で、農産物検査所から約十センチくらい(右下を指す)のところから、佐野屋前の大通り、㉟から十センチくらい北へ寄ったところ、北西になりますね」

証人=「はい」

宇津弁護人=「図面で言えば、左上にあがる所との間を一列横隊のようになって山狩りが始まったと、こういうことになるわけですか」

証人=「はい」

宇津弁護人=「今、指示された範囲ですね、さっきの人数の人がずっと一列横隊に並んで行ったんですか」

証人=「私は農産物検査所のほうに寄ったところのほうにおりましたので、佐野屋方面に寄ったところはよく分かりませんでした」

宇津弁護人=「そして、⑬とか⑭⑮とかいう赤い数字がありますね、ここは教科書、鞄とかが発見された地点にされているわけですがね。あなたは、今、示したような地点に山狩りで行ったことがあるわけですか」

証人=「あります」

宇津弁護人=「これはまあ、林とそれから畑の、いわばこう、合わさっているような地点になるわけですね、地形は」

証人=「この辺からが畑になっております」

宇津弁護人=「今、⑬⑭⑮というところ辺りに到着した時点のことを聞きますがね、この辺には山狩りの人達は何人くらい入ったですか」

証人=「⑮の点辺りには、並んで、私等のすぐそばに十人くらいいました。最初はずっと、こう並んでおったんですけれども、集まったわけですね」

宇津弁護人=「で、それが林であろうと畑であろうと、先ほどのような範囲のところではずっと押していくように山狩りしたわけですか」

証人=「はい」

宇津弁護人=「山狩りというのは、林とかそういうところだけを特別狙ったわけじゃないんですね」

証人=「山の中だけをやったわけです、畑の方は出ないです」

宇津弁護人=「山だけやったの」

証人=「はい」

宇津弁護人=「今、林だけでなくて、林であろうと畑であろうと、ずっとやって行ったのであろうと言ったら、そうだと言うからね」

証人=「これはずっと山です」

宇津弁護人=「その中に畑があった場合にはどうですか」

証人=「その場合はやるんですけれども、とりあえず山狩りというから山だけやったわけです」

宇津弁護人=「山の付近に畑があれば、それも当然入っていたわけですか」

証人=「山だけをやるということですから・・・・・・・・・」

宇津弁護人=「今、畑もあればやるようなことを言ったでしょう」

証人=「まあ、ずっとこっちに畑があるわけです」

宇津弁護人=「山の周辺部も当然、山狩りの対象になったわけでしょう」

証人=「周辺部と言いましても、山と畑の境があって畑になると畑がずっと広くなってます」

宇津弁護人=「仮に、山をやったとしても、山の周辺部も山狩りの対象じゃないかと聞いておるわけです、当然」

証人=「一応、木の生えている山だけをやったわけです」

宇津弁護人=「山の中に畑があればそれもやるということを言ったですね、今」

証人=「先生、ちょっとお伺いしますけれども、山のところをずっと行って、たとえば畑があったら・・・」

宇津弁護人=「一体、山狩りの目的は何だったんですか」

証人=「何かあるかも知れないということです」

宇津弁護人=「死体じゃないですか」

証人=「もちろん、死体もあるかも分からないから、全部その辺ということです」

宇津弁護人=「山の中だけしか死体がないということは誰か聞いておったんですか」

証人=「いや、そういうことはないです」

宇津弁護人=「どこにあるか分からないでしょう」

証人=「はい」

宇津弁護人=「だから、林の中であろうと畑の中であろうと、ずっとこう、絨毯を伸べるように、ずっと大勢の人がやるということが目的だったんじゃないですか」

証人=「この辺はそうですけれども、あとはずっと畑なんです」

宇津弁護人=「そんなことじゃなくてね、先ほどスタートラインに並んだときの状況を説明してましたね」

証人=「はい」

宇津弁護人=「そういう態勢で、いわゆる山狩りということで、ずっと何かを捜したんでしょう」

証人=「はい」

宇津弁護人=「特に畑があるから避けるんだとか、そういうような特別な気持ちはないでしょう」

証人=「そういうのはないです」

宇津弁護人=「で、いわゆる、山狩りの目的はまず善枝さんがその辺に転がっているとか、あるいは埋まっているとか、そういう問題がありますね」

証人=「はい」

宇津弁護人=「それから、何か善枝さんの物か、あるいは犯人の物らしい、何か遺留品がその付近にあるかどうか、そういうことも含まれておりましたか」

証人=「はい」

宇津弁護人=「いたね」

証人=「はい」

宇津弁護人=「あなたはさっき、山狩り隊の、言わば案内役をやれと言われたと言いましたが、具体的にはどういう案内を行なったんですか」

証人=「機動隊等の、よそから来た人は地理も全然分からないしするから、その案内を兼ねて、一緒に今申し上げました、これを真っ直ぐ押して行くようにという風に言われました」

宇津弁護人=「でも、山狩りというのは、道を歩くだけじゃなくて、そこに林があろうと畑があろうと、ずっと押して行くのが山狩りのやり方でしょう」

証人=「はい」

宇津弁護人=「道案内というのはいらないわけですね。だから、あなたが案内したというのは、あなた自身がどういう動きをしたか、それを知りたいんです」

証人=「私がその山狩りに来た人と一緒に列の中に入って一緒に押して行ったわけです」

宇津弁護人=「となると、大勢の山狩りのメンバーと一緒にあなたも山狩りをずっとやって行ったというように聞こえるんですが、それでいいわけですか」

証人=「そうです」

宇津弁護人=「それじゃ、お前はその地理に詳しいから道案内せよと言われたことと、どう結び付くのかな。案内らしいこと何もやっていないじゃないですか。どういうことですか」

証人=「それはしかし、うちの方の狭山の署員というのはその中にいなかったもんですから、幾人かをその中に入れたんじゃないかと思いますが、それはよく分かりませんが」

宇津弁護人=「山狩りというのは、要するに、どういうものを捜さねばならないかということがはっきりしていればね、どこにどういう道があるかということを知らなくてもやれる捜し方ではないのですか。だから、地理に暗い機動隊も何十人も参加したんじゃないですか」

証人=「よく分かりませんけども、この道を北と南に分けた関係で、そうじゃないかと思うんですが」

宇津弁護人=「この道というのは」

証人=「ただいま申し上げた佐野屋から山本製作所、狭山精密のこの大きい道がありますが、この線の北と南に分けた関係から、そういう風になったんじゃないかと思います」

宇津弁護人=「北の方面だけやったんでしょう。南はやらないね」

証人=「はい」

宇津弁護人=「だから、さっきの質問に還るようだけれども、さっきの指示されたようなスタートに並んで始まったわけだから、そういう範囲を捜すんだという指示を山狩りのメンバー全体に伝達したのはどういう方法でやったのかということですが」

証人=「それは私は分からないです。それは上司の人がその山狩りの責任者に話したと思うんですけれども、山狩りの責任者が誰であったかということは実は私もその当時分からなかったんです」

(続く)