アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 881

今回より、関 源三巡査部長へ対する尋問が行なわれる模様だが、この方の事件への関わり方が妙に疑惑を感じさせ、狭山事件関連本など見るとそれは辛辣な言葉を浴びせられている。まずはその先入観にとらわれずに調書に向かってみようと思う。

下三点の写真は事件当時の山狩りの様子。

("無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用)

【公判調書2747丁〜】

                    「第五十二回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳・飯能警察署勤務、警部補)

                                            * 

宇津弁護人=「いわゆる善枝さん殺しが起きたのは三十八年の五月ですね」

証人=「はい」

宇津弁護人=「証人がこの善枝さん殺しの事件で最初に何らかの捜査に関与したのはどういう捜査ですか」

証人=「それは張込みです」

宇津弁護人=「何日の」

証人=「五月二日の晩です」

宇津弁護人=「それが最初であると」

証人=「はい」

宇津弁護人=「その次は何をした記憶がありますか」

証人=「それから三日が山狩りをやりました」

宇津弁護人=「四日は」

証人=「あとは雑用やったと思います」

宇津弁護人=「四日も引続き山狩りに参加したんではないですか」

証人=「四日のことはよく憶えておりませんですが」

宇津弁護人=「五月三日の山狩りのことをお尋ねしますが、証人は狭山警察の署員として参加したわけですか」

証人=「はい」

宇津弁護人=「狭山署の警察官は証人を入れて何人参加しましたか」

証人=「はっきりは分かりませんけれども、二十人くらいだと思います」

宇津弁護人=「狭山警察署員が二十人くらい」

証人=「はい」

宇津弁護人=「そのほかに機動隊が何十名か参加したことはあるんですか」

証人=「あります」

宇津弁護人=「何名くらいですか」

証人=「機動隊のことはよく分かりませんですが、当時の隊長も来ました」

宇津弁護人=「隊長以下およそ何名くらいという記憶ですか」

証人=「およそ三十人くらいいたんじゃないかと思いますが」

宇津弁護人=「そのほか、地元の消防団が同じく山狩りに参加しましたか」

証人=「はい」

宇津弁護人=「何名くらいですか」 

証人=「これも数ははっきり分かりませんです」

宇津弁護人=「団長も参加したのですか」

証人=「団長は見なかったですが」

宇津弁護人=「おおよそ何名くらいという記憶でしょうか」

証人=「正確のことではないんですが、やはり二、三十人いたと思うんですが」

宇津弁護人=「証人は五月三日の山狩りの際にはその最初から参加したのですか」

証人=「そうです」

宇津弁護人=「どういう方法で山狩りをするについては、機動隊、狭山警察署員、それから地元の消防団、いわばこの三者で、どこかで打合せをしたことがありますか」

証人=「それは私は知らないんですけれども、山狩りをやるけれどもお前、地理に明るいから、地理が明るいというか、私は地元の署員ですから、で、道案内をやれということで、機動隊、消防団と一緒に一列のようになって、それで山に行ったわけです」

宇津弁護人=「お前は地理に明るいから道案内をというのは誰から言われたことですか」

証人=「誰からか忘れてしまったですが」

宇津弁護人=「どこで言われましたか」

証人=「それは堀兼の狭山市役所の支所があるんですが、そこでです」

宇津弁護人=「そうすると、そこにはすでに捜査本部が置かれていたということになりますか」

証人=「捜査本部が置かれたのは、その後だったかどうか分かりませんけれども、そこへ全部集まって来たわけです」

宇津弁護人=「その堀兼の元支所のところには、すでに県警の皆さんも来ておったわけですか」

証人=「ええ、いました」

宇津弁護人=「捜査本部として組織されていたのかどうか、その時期にですね、はっきりは分からないというわけですね」

証人=「はい」

宇津弁護人=「案内せよと言ったのは狭山警察の署長ではない人ですか」

証人=「分かりません、それは忘れてしまったですね」

宇津弁護人=「本当に忘れたんですか」

証人=「はい」

宇津弁護人=「どこからどのように山狩りをしようかという、いわば意思統一が必要だったと思いますが、それは言ったわけですか」

証人=「それは私のほうは堀兼の支所から西に向かって県道というか、大きい道があるわけですが、それの右側のほうを入間川のほうへ向かって行けという風に言われたわけです」

宇津弁護人=「道行きは別として、山狩りをする場所ですね、それはどのようにして決められたんですか」

証人=「どういうように決められたか、私は分からないんですが」

宇津弁護人=「あなたが出発する前には山狩りをすべき場所はあらかじめ決められていたようですが」

証人=「決められていたと思います」

宇津弁護人=「ここを山狩りするのだという風にあなたは誰かから指示されたわけですか」

証人=「はい」

宇津弁護人=「あなたが指示された山狩りの場所はどこですか」

証人=「場所は堀兼の市役所の支所の前に大きな道があるんですけれども、その道から北側のほうをやれということです」

宇津弁護人=「(記録第十冊三一七丁の当審第三回検証調書添付、第一見取図を示す)この図面を見て山狩りをすべき場所として指示されたのは、どこにあたりますか」

証人=「堀兼の支所から狭山精密の工場のほうへ行く道の北側です」

(山狩りは、写真二枚目で言えば下から上へ、捜索隊が横一列になり押し進めた模様である)

宇津弁護人=「そういう、かなり広い範囲を概括的に指示されたのか、あるいは今言われた範囲内のところの、特に、このところという趣旨のことも言われたわけですか」

証人=「この道の北側をやれということです」

宇津弁護人=「それはどこの範囲までですか」

証人=「それはこちら側が畑になってしまいますので」

宇津弁護人=「この図面では所沢狭山線とある」

証人=「ええ、この付近は畑になってしまいますので、道の北側をこの畑になるまで山を全部です」

(続く)