狭山の黒い闇に触れる 883 - アル中の脳内日記

写真右上の服部ガソリンスタンドから下方へ伸びる道路があり、それは途中にある佐野屋を経て、やげん坂を進み、やがて山本製作所、狭山精密へと到達しており、山狩りはこの道路を起点に鉛筆が指し示す方角へ向けて行なわれた。

【公判調書2754丁〜】

「第五十二回公判調書(供述)」

証人＝関源三(五十五歳・飯能警察署勤務、警部補)

＊

宇津弁護人＝「あなた自身は、どういう機会に山狩りの範囲はこういう範囲だということが分かったんですか」

証人＝「私は二日の晩の張込みで図面でいきますと、こっちにあたるところですが、そこにいて、七時頃帰って来いということで引き揚げて来たわけです」

宇津弁護人＝「どこに」

証人＝「堀兼の支所に。で、連絡があって引き揚げて来て、で、これから山狩りをやるからお前も一緒に行けということで言われて、機動隊の中に入って、山狩りに一緒に行ったわけです」

宇津弁護人＝「私が聞いたのは、先ほど、こういう範囲が山狩りの範囲だということを仰ったからね、その範囲であるということをあなたが知ったのは、どういう機会かということです」

証人＝「堀兼の支所を出るときに、この道の北側ということを言われたんです。誰からか、今ちょっと思い出せませんが」

宇津弁護人＝「機動隊員も狭山署員も消防団員も堀兼支所に一旦集結して、そこから行ったんじゃないですか」

証人＝「集結したです」

宇津弁護人＝「そのときに、出発するときに、こういう範囲をやって下さいと、誰だかは別としてそういう説明があって、それでみんなそのつもりで出発したんじゃないですか」

証人＝「そうなんです。この道の北側ということで」

宇津弁護人＝「そこで、思い出したところで、そういう山狩りの範囲などを指示というか、指揮をした方のお名前は思い出せませんか。かなり偉い人と思われますか」

証人＝「私、直接聞いていないんです。聞いていないんですが、機動隊の中隊長あたりが聞いたんだろうと思います。指示されたんだと思います」

宇津弁護人＝「一旦、大勢が堀兼支所に集結したというか、大勢の目の前で誰かがね、こう、範囲を説明したということがあるんじゃないかと思うんですが、どうですか」

証人＝「それは私が引き揚げて来たのが七時頃引き揚げて来まして、すぐ飯を食って行けと言われたので、朝飯やっていたもので、全部並んで行った、全部指示して行ったということはそのときにはいないんです」

宇津弁護人＝「あなたが堀兼支所に行ったときには大勢集まっていたわけですか」

証人＝「堀兼支所へ行ってから飯を食ったんですが、その間に集まったと思うんです。だけど、三人、五人という風に少しずつはいましたが、全部そこに揃って隊を組んでいたというときに私は行ったんでなくて、朝飯食ったら山狩り行くから、お前も行くんだからということで、飯を食いに行ったのでそのとき誰が指示したかということは私は分からないです」

宇津弁護人＝「一旦、堀兼支所に集結して行ったんだということはいいんですね」

証人＝「それは間違いないですね」

宇津弁護人＝「証人は手に何か持って山狩りに行ったわけですか」

証人＝「棒を持って行きました」

宇津弁護人＝「どのくらいの棒」

証人＝「枝を折ったやつですから、一メートルから一メートル二、三十あったと思います」

宇津弁護人＝「で、あなた方が先ほどの⑬⑭⑮とか印のある付近に行かれた段階ではそういう方向じゃなくて、別な方向に進んで行っている捜索隊もあったわけですか。それとも、大体ここに自然に、こう集結して、そこで、こう山狩りするという態勢なんですか」

証人＝「これは全部、山本製作所、狭山精密のほうに向かって、ずっと押して行くような恰好で行ったわけです」

宇津弁護人＝「そうするとこの付近、つまり、⑬⑭⑮という付近に差しかかった部隊は全体の中の一部分であったわけですか」

証人＝「はい」

宇津弁護人＝「そうですか」

証人＝「はい」