アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 872

【公判調書2725丁〜】

                   「第五十二回公判調書(供述)」

証人=青木一夫(五十六歳・川越市役所臨時嘱託)

                                           *

中田弁護人=「さっき、あなたが説明した柵か何かに使ってあった縄が無くなっているという話を、あなたはかなり以前から知っていませんでしたか」

証人=「かなり以前かどうか記憶ありませんが、そういう無くなった場所もあったということ、それから、一ヶ所には、たくさん縄が捨ててあった場所、そういった場所、それからああいう山林や畑ですから、縄などは多分に捨てられてある場所だったんですね」

中田弁護人=「だからね、簡単に答えて下さればいいんですが、柵のところに使っていた縄が無くなったということも石川君が自白する以前に捜査の情報としては知っていたんでしょう」

証人=「知っていたと思います」

中田弁護人=「そこだけ聞きたかったんです。そこであなたは、こういうところの家の柵に使っている縄を持ってきたことはないかと聞いたことはありませんか、石川君に」

証人=「さあ、その辺のところはよくはっきり聞き方については記憶ございませんですが」

中田弁護人=「長谷部さんがそういうことを石川君に聞いたことはありませんか」

証人=「どういう風にしてその縄の状態が出たか、今記憶がございません。私ども先ほど申しました通り、いろんなところから持ってこられる状態だったので、そういった場所だろうという推測だったわけですけれども」

中田弁護人=「あなたにややくどく聞いている湯呑み茶碗のことは、今の、縄をどこから持って来たかということを調べている時に、長谷部さんがやって見せたんだという風に考えられることを石川君は言ってるんですけれどもね、そこで今のようなことを繰り返し聞いてるんですけれども思い出せませんか」

証人=「先ほどから何回もお尋ねを受けてるんですけれども、どうも湯呑み茶碗のことというのは、はっきり頭に浮かびません」 

中田弁護人=「いつも使ってる取調室には湯呑み茶碗がいつも何個かあるんですか」

証人=「いつもではありませんが、朝、調べ前にお茶を飲んだこともありますし、お昼、それから中間にもお茶が入ったこともありますから、いつもということは言えませんけれどもありましたです」

中田弁護人=「四も五もありますか、いつも」

証人=「いつもじゃございません。いつもと、そういう風に言われますと、非常に限定されちゃうんですけれども、いくつもあったことがたくさんございます」

中田弁護人=「あなたは、取調べをする時に狭山市内の地図や何かを横に置いて調べたことがありますか」

証人=「狭山市内の地図は記憶がありませんが」

中田弁護人=「地図を手元に置いて調べたことはないのですか」

証人=「はい」

中田弁護人=「あなたの調書には随分たくさん図面が付いているんですがね、この図面はまず被告人が書いてから調書を作り始めたのか」

証人=「いや失礼いたしました。狭山ではございませんが、あの付近の地図を私持ってたこともあります」

中田弁護人=「どの付近の地図ですか」

証人=「あの付近一帯の地図ですね、持ってました。私、あの付近の地図を知りませんし、そういった話を聞いて納得するためだったと思います。捜査の参考にもなりますから」

中田弁護人=「すると、石川君が図面を書いたりしてる時に、その図面をあなたの地図と対比したりしたのですか」

証人=「突き合わしてですか」

中田弁護人=「ええ」

証人=「その場所は大体、この辺だという風なことがあったかも知れませんですが、はっきり覚えておりませんが」

中田弁護人=「あなたの調書には、随分石川君が書いたとされている図面が添付されているんですが、あなたは、そういう図面をまず手元にしてから調書を書き始めるのが普通ですか。具体的な場所を聞いているんですがね。たとえば六月二十二日付のあなたの調書には四枚もの図面が付いているんですが、四枚の図面が出来てからあなたは調書を書くのが普通か、あるいは調書を書きながら、その図面を書かしているのか、そういうことを聞いたんです」

証人=「すぐに、図面を先に書いてもらう場合もありましたし、それから反古紙のようなものへ図面を書きながら説明しますので、それを別の紙に書いたらいいでしょうということで、改めて書き始めることもありました。そういったのを書き終わった時点で調書を取ったこともありますし、片一方で調書を取りながら片一方で図面を清書している、そういう場面もありましたね」

中田弁護人=「石川君に書かせた図面は、あなたがこういう点について書きなさいという風に言って書かしたものですか」

証人=「それがどこだという風に聞きまして、それについて説明をそれじゃ図面に書きなさいということもありましたし、図面を書きながらじゃないと説明がつかない場合もあるんですね、二通りあるんですがね」

中田弁護人=「その時に石川君が書いてる具体的な書き方ですが、一枚の紙に書いてるんですか、それともカーボンを挟んで何枚か書いたことがありますか」

証人=「カーボンを挟んで書いたことはないでしょう。大抵鉛筆か万年筆で書きましたから」

中田弁護人=「万年筆で書いたことがあったんですか、あなたの前で」

証人=「いや、はっきり記憶がありませんですがね、カーボンを使ったことはないでしょうね、ありましたでしょうかね、色鉛筆は使いましたよ。カーボンで複写で書いたことは恐らくないでしょうね」

(続く)