アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 738

【公判調書2316丁〜】

                  「第四十五回公判調書(供述)」

証人=梅沢  茂(五十歳・埼玉県警察本部捜査三課)

                                         * 

宮沢弁護人=「どなたの指揮下に入ったわけですか」

証人=「清水警部の指揮下だったと思います」

宮沢弁護人=「あなたがされたのは聞込みとか、そういうこともされたわけですね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「すると、その二週間後からはずっと清水警部の下で捜査の仕事にあたられたわけですか」

証人=「ずっととは言えません。大谷木警部の指揮に入ったこともありますし、隔日に指揮者が違ったこともあります」

宮沢弁護人=「今、二週間ぐらいして、清水警部のところへつかれた段階では、どういう仕事をされたわけですか」

証人=「具体的には覚えておりませんが」

宮沢弁護人=「今、聞込みということを言われたですが、それは、具体的にどういうことですか」

証人=「具体的な記憶はありません」

宮沢弁護人=「あなたは、聞込みをしたと今言われたんですが、具体的に何か覚えているでしょう」

証人=「飛び歩いたことは覚えていますが、具体的にどういう任務でどこに行ったか覚えていません」

宮沢弁護人=「飛び歩いたのは、どの辺まで飛び歩いたんですか」

証人=「狭山の裏道はずっとそうですが、堀兼という所、それから大宮方面へ行ったような記憶もあります」

宮沢弁護人=「その清水警部のところにいた時には、勤務場所はどこになっていたんですか」

証人=「勤務場所ですか」

宮沢弁護人=「ええ」

証人=「やはり、あそこの捜査本部です」

宮沢弁護人=「それから先ほど大谷木警部のところへついたというのは具体的にどういう仕事をされたんですか」

証人=「具体的なことは記憶にありません」

宮沢弁護人=「だけど大谷木警部のところへついたという以上、何かそこに具体的に、大谷木警部の指揮を受けて動いたという記憶はあるんじゃないですか」

証人=「時間が経っておりますので、具体的なことは思い出せません」

宮沢弁護人=「すると清水警部から大谷木警部に移る段階ですね、それはどのくらいの時間あったんですか」

証人=「初めは清水警部の指揮下にあったんですけれども、捜査が進むにつれて情勢が変わって来ますので、初めから決められた人員が、それだけ必要ないこともあったし、大谷木警部の方が人員が多く必要になったこともあったりし、そういう関係で決まっていなかったですね」

宮沢弁護人=「あなたはこの狭山事件で、清水警部、大谷木警部について、全然記憶ないんですか、何やったかというのを」

証人=「捜査に従事したことは間違いないですけれどもね」

宮沢弁護人=「一つも思い出せないですか。すると、いつ頃まであなたはこの捜査にあたっていたんですか。五月の十日頃からということですが、いつ頃までこの狭山の方へ勤務されたんですか」

証人=「六月いっぱいぐらい居たんじゃないでしょうか」

宮沢弁護人=「相当な期間ですね、五十日ぐらいありますね」

証人=「そうですね」

宮沢弁護人=「その中で、具体的にこういうことをやったという記憶はないですか」

証人=「私等は聞込み、問い合わせが一番多かったんです」

宮沢弁護人=「あなたは、この狭山事件で問題になっておった被害者の鞄の発見の際、これに関与したことはございませんか」

証人=「鞄の発見、・・・・・・何か捜すことをやらされたような記憶がありますね」

宮沢弁護人=「それは、いつ頃のことか覚えておりますか」

証人=「それは、わかりません」

宮沢弁護人=「この公判廷に証拠として出ておる中にあなたの名前が出ているのがあるわけですよ。この鞄の発見現場の実況見分の補助をされたという風に出ているんですがね、あなたの名前が載っているのですが思い出せませんか」

証人=「そういうこともありましたですね」

宮沢弁護人=「思い出したですか」

証人=「ありました」

宮沢弁護人=「思い出しましたか」

証人=「何となく、そういうことを記憶に・・・・・・」

宮沢弁護人=「すると、これはいつ頃のことか」

証人=「日にちは分かりません」

(発見した被害者の鞄を取り出す捜査員)

(続く)