アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 712

(遺体の目かくしに使用されたタオル。月島食品が得意先に配布したもの。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用)

【公判調書2243丁〜】

                   「第四十四回公判調書(供述)」

証人=大野喜平(六十歳・会社員)

                                         *

山上弁護人=「それから、もう一つ関連してお聞きしますが、目かくしをしておったタオル、これはやはり濡れておりましたか」

証人=「乾いてはいなかったですね」

山上弁護人=「というのは、たとえば、これも例ですがね、洗濯したあとのタオルのような状態ではなかったという趣旨ですか、湿っておったということはあり得ると思うんですがね、土の中ですから」

証人=「湿っておったというのがいいんじゃないかと思います」

山上弁護人=「そのほうがあなたの記憶に正しいという意味ですね、そうですね。記憶によれば湿っておったという表現が近いかも知れないという、こういう趣旨ですね」

証人=「そうです。全般的に濡れておりましたから」

山上弁護人=「湿っておったと濡れておったは微妙ですがね、どういう感じでしょうかね」

証人=「はっきり申し上げられません」

山上弁護人=「そうすると、湿っておったような感じというのが近いということですね」

証人=「湿っておったですね」

山上弁護人=「これはたとえば、一番上に着ておったのは学生服ですね、これと比べてどうでしたか」

証人=「はっきりお答え致しかねますが」

山上弁護人=「そうすると、先ほどのご証言にある着衣も、とにかく濡れておったというようなご証言でありましたが、先ほどのご証言もですね、着衣、たとえば上着ですね、これも湿っておった程度ということですか」

                                          *

裁判長=「最前の証言を前提としてお聞きになるわけですか。最前の証言は着衣は濡れていた、どの程度と言えば、かなり濡れていた、全体的に濡れていたという証言はしてありますが、これを前提としてお聞きになるなら、お聞きになって下さい」

                                          *

山上弁護人=「ああそうですか。今、裁判長から適切なご指摘があって思い出しましたが、全体的に着衣は濡れておったと。そうすると、タオルですね、これは区別がつくんでしょうか。今、タオルについては湿っておったという感じだと仰いましたね」

証人=「あれ、伸ばしてあるんじゃない、多少、こう結んであったように記憶してましたからね」

山上弁護人=「多少、着衣の、全体として濡れておったというのとは違う感じですか、印象ですよ。これは八年前ですからね」

証人=「末端で結んでありますからね」

山上弁護人=「だから、あんまり差がなかったというんですか、ちょっと差がありましたか」

証人=「はっきり申し上げられないですね」

山上弁護人=「手拭いの方はどうでしたでしょうか。手を締めている」

証人=「・・・・・・・・・」

山上弁護人=「お尋ねが漠然としてわからないかも知れませんが、先ほど裁判長からご指摘あった着衣が全体として濡れておったということと比較して、じゃ、手拭いはどうであったかということですが」

証人=「部分的に、こう結んであるから幾分、着衣より濡れ方が少ないと思いますがね。あまり、これも想像を申し上げちゃいけないですから」

山上弁護人=「幾分少ないと思うけれども、はっきり言えないということですか」

証人=「はい」

山上弁護人=「それから棍棒ありましたね」

証人=「はい」

山上弁護人=「これが裂けておったという記載になってますね」

証人=「鋭利なもので削ったものではなく、折ったような形のように受け取ったということですね。折ったときに、はすにこう少し斜めのように、折れ口のような、裂け口がはすになっていたような感じがするんですね。そういうことが書いてあればですね、鋭利なもので直角に切ったんでなく、それで折ったというような感じであったというようなことです」

山上弁護人=「折ったという今のご証言ですがね、二つに割れている片方を折ったという趣旨ですか」

証人=「一本のものを鋭利なものでぴしっと切ったんでなくて、その裂け口が刃物でないもので折ったような、残りのような感じであったという感じでございます。たとえば、山の木を抜いて、ぴしっと折ったというような感じだということなんです」

山上弁護人=「それから、もう一点関連してお尋ねしたいんですが、石ですね。玉石がね、たとえば先ほどのあなたの表現を使うと、制服のブラウスには粘ったような土が付いていたという証言がありましたね。そういう意味で泥が付いておったのか」

証人=「そんなに粘り付けたようなものではないように思いました。粘り付けたような土はなかったように思います。ただ、多少の土はあるですがね、そういう感じでした」

山上弁護人=「玉石の目方を計られたときには、石を洗うんですか」

証人=「そういうことはやらないと思うんですがね」

山上弁護人=「そのまま計るわけですか」

証人=「と思うんですがね」

山上弁護人=「そうすると、多少の土が付いたままですか。これは推測に過ぎないけれどもね、目方が違うのは、洗わん前と洗った後ということで推測するんですがね。だから、洗って計った記憶がありますか」

証人=「細かいご質問で、あまり、そういうものは洗ってしまうということは原型が変わることは好ましくないということじゃないかと思うんですがね。模様が分からないとか、そういうことじゃ仕方ないですが、そういうものをそのまま計ったんじゃないかと思います」

山上弁護人=「実況見分調書をちょっと離れますが、この玉石などについて、本件事件にどういう具合に関係あるのかということは捜査会議に出たような記憶はありますか」

証人=「私の記憶では、そんなに重要な物件として取り上げたような、私もそんな幹部じゃありませんからそこまでは伺っていません」

山上弁護人=「先ほど、一応、押収領置したものはですね、犯罪に関係があるのじゃないかという思慮判断で領置したという、こういうご証言がありましたのであなた独自で何か、ただ単に、頭の側頭部から出てきたから領置したと、そういう程度のものですか」

証人=「そう言われればそうですね。ただその付近にはとにかくないものなんですね、そういうものは。非常に耕された土地ですから、そういう石は付近にないものだからということで、特異な珍しいものだから、多少、関係がもしあったときに困るから領置したという程度にご了解願いたいんですが」

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(続く)