【公判調書2084丁〜】
鑑識課長 警視 山中芳郎殿
「指紋検出結果報告書」
昭和三十八年五月二十五日付狭鑑発第一八〇号をもって、狭山警察署長より指紋検出方依頼のあった、左記物件について検査した結果は、次のとおりであるから報告する。
記
一、事件名
昭和三十八年五月一日埼玉県狭山市内に発生した、被害者中田善枝(当十六年)に対する強盗、強姦、殺人死体遺棄被疑事件。
二、被検査物件の名称および個数
昭和三十八年五月二十五日埼玉県狭山市入間川字中窪○○番地宮岡貞助方桑畑において発見した次の物件。
三、検査年月日および場所
昭和三十八年五月二十五日より同月三十日まで六日間にわたり当課において検査した。
四、検査方法
前記各物件は、相当長期間土中に埋没されていたものと思料され、水分、泥等の附着が甚しいため、次の各方法により潜在指紋の有無を検査した。
(1) 各物件とも、乾燥器により乾燥するとともに附着している泥を除去した。
(2) 下敷およびその他の滑面体(本の表紙等)については、アルミ粉末と石松子とによる混合粉末を塗布する方法により検査した。
(3) 教科書、ノート等の紙類については、先ずニンヒドリン、アセトン溶液に浸漬した後、乾燥の上、加熱するニンヒドリン法により検査した。
(5) 検査結果
前記各方法により潜在指紋の検出に努めたが、指掌紋の隆線模様は発見されなかった。
(6) 備考
(一) 被検査物件は返戻する。
(二)被検査物件は、検査方法に応じニンヒドリン法については過酸化水素水、硝酸銀法については昇汞アルコール(注:1)によりそれぞれ還元措置をとったが完全な還元はできなかった。
(注:1)昇汞(しょうこう)アルコール=塩化水銀(Ⅱ)。
昭和三十八年五月三十日
埼玉県警察本部刑事部鑑識課 警察主事 小沼達之助
同 高山和夫
同 塚本昌三
同 柳 松雄
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【公判調書2087丁〜】
狭山警察署長 警視 竹内武雄殿
「指紋印象の有無検査について」
狭山市上赤坂○○番地中田善枝十六年被害の強盗強姦恐喝未遂殺人死体遺棄被疑事件にかかる物件について、指紋印象の有無を検査した結果は次のとおりであるから報告する。
一、指紋検査年月日、場所
狭山市役所堀兼支所内特捜本部
二、検査物件
被害者の万年筆一本(石川一夫方より押収したもの)
三、検査方法
万年筆表面について肉眼検査後、固体法(アルミニューム粉末使用)により検出を行なった。
四、検査結果
前記方法により三個指紋採取した。なお、採取した指紋は隆線模様は認められるが特徴点(三ヶ所)不足のため対照不可能である。
五、摘要
写真撮影は昭和三十八年六月二十六日特捜本部において鑑識課、警察主事、小堀二郎が行なった。
狭山警察署助勤
埼玉県警察本部鑑識課勤務 警察主事 新井 実
昭和三十八年六月二十六日
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【公判調書2089丁〜】
狭山警察署長
司法警察員 警視 竹内武雄殿
「指紋印象の有無検査結果について」
狭山市上赤坂○○番地中田善枝十六年被害の強盗強姦殺人死体遺棄ならびに恐喝未遂被疑事件にかかる物件について指紋印象の有無を検査した結果は次のとおりであるから報告する。
記
一、指紋検査年月日および場所
昭和三十八年七月二日
狭山市役所堀兼支所内特捜本部
二、検査物件
昭和三十八年七月二日狭山市入間川四七九番地茶畑より発見した被害品の腕時計(女物シチズンペット)
三、検査方法
1 現象指紋の有無について肉眼検査を行なった。
2 潜在指紋の有無について固体法(アルミニューム粉末使用)による検出を行なった。
四、検査結果
指紋印象は認められない。
狭山警察署助埼玉県警察本部刑事部鑑識課勤務
警察技師 小沼達之助
昭和三十八年七月二日
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【公判調書2090丁〜】
狭山警察署
司法警察員警視 竹内武雄殿
「指紋印象の有無検査について」
狭山市上赤坂○○番地中田善枝十六年被害の強盗強姦恐喝未遂殺人死体遺棄被疑事件にかかる物件について、指紋印象の有無を検査した結果は次のとおりであるから報告する。
(続く)