アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 646

【公判調書2017丁〜】

                「第四十一回公判調書(供述)」⑤

証人=竹内武雄(五十六歳・埼玉県交通教育協会評議員。事件当時、狭山警察署長)

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宇津弁護人=「石川君が逮捕された後ですが、少時というのは少ない時とは書かないけれども、とにかくショージと発音をする人間はいるんだということが分かったことがありますか」

証人=「いつかは記憶ないんですが、そんな記憶はあります。字は違うと思いますがね、ショージというような名前の人がとにかくあの付近に、捜査本部の現地付近におったということは聞いてますね」

宇津弁護人=「とにかく、少時についてはまぁ地道に担当して、ずっと調べておられた方がおったわけでしょう」

証人=「私は記憶がないんですが、記録にあれば多分そうだと思うんです。そう細かいことは記憶にありません」

宇津弁護人=「捜査の上から言ってですね、あの封筒に書かれていたあの少時というのは、一般的に言えばどういう意味を持ちますか」

証人=「どういう意味ですか」

宇津弁護人=「つまり、具体的に聞きますが、少時という名前があった場合ですね、それがいわゆる真犯人の割出しに有効であるという場合があるのではないですか」

証人=「ちょっと意味が」

宇津弁護人=「たとえばね、少時と書いてあったと、それが手がかりになって、それの、仮定ですけれども、親戚とか何か関係者が容疑者として考えられるという場合が考えられるわけでしょう」

証人=「はい」

宇津弁護人=「その犯人の割出しに有効というのはそういう意味でお尋ねしたんですが」

証人=「当時はですね、少時として消してましたね。ですから、最初は少時という人に脅迫文を書いたんだが、その後また気持ちを変えて中田さんですか、名前を変えたんじゃないかというような、どちらだろうというあれですね。それで、少時というのが記録にあれば、消さないで期日は若干後まで捜査をしたと思います」

宇津弁護人=「そうすると、後で、少時と書いたのは消したんだから、消されてしまっているから、あまり重要でないと、そんな風にお考えになっておったんですか」

証人=「全然考えないでもないんですがね、そう、また重要ということでもないと思いますがね」

宇津弁護人=「なぜですか」

証人=「私はいちいち具体的にそういうの、私としてはそんなような気持だったですね」

宇津弁護人=「警察としては脅迫状がぽんと投げられたという場合にね、その脅迫状の筆跡はもちろんのこと、それから宛名人以外の名前も書いてあるとか、あるいは、それが消してあるという場合には、本件の場合で言えば少時様ですね、それも極めて重要な資料ではあるわけでしょう」

証人=「そうですね」

宇津弁護人=「場合によっては、それが犯人の割出しに役立つ場合もあり得るわけですね」

証人=「そういう場合があるでしょう」

宇津弁護人=「一般的にですね」

証人=「ええ、それはあるでしょう」

宇津弁護人=「それから、その少時様をいろいろ捜されるについて、まあ、警察ですからいろいろ行政的ないろんな届出がある場合がありますね。その、交通関係もありましょうし、それから衛生関係もございますと思いますが」

証人=「衛生はありません」

宇津弁護人=「衛生はありませんか、そういう様々な届出関係ですね、それを一応あたるということもなさるんでしょうか」

証人=「それはどういうものですか、台帳ですか、警察の公簿ですか」

宇津弁護人=「なんでも結構ですが、署内にある帳簿にあたってみることもありますか」

証人=「事件によってはそうですね」

宇津弁護人=「管内にこういう人間がいるかどうかを知りたいときには警察署、あるいは駐在所の何等かの台帳みたいなものを一応あたるということはよくあるわけですか」

証人=「まあ、一般的にはそうですね」

宇津弁護人=「一応、定石と言っていいと、そういうことは」

証人=「定石・・・・・・、まあ、行政書類を捜査に使うと、そういう意味ですか」

宇津弁護人=「たとえば、少時という者が管内にいるんだろうかという観点で」

証人=「それは警察も少時以外にですね、もちろん聞込みと言いますかね、聞込みという線で聞いたり、もちろん市役所行っても聞いたり、いちいち公簿見なくても多角的にあらゆる面で調べていくということですね。一方に偏しては見ませんね。ただ、私申したように、あの辺の埼玉の辺ならば、普通であれば田舎の駐在二年やればほとんど自分の受持ち部内の子供などは大体頭に入ってくるということですね」

宇津弁護人=「本件については当然その警察署にあるいろんな簿冊についても、一応めくってあたったということは言えますか」

証人=「そう簿冊を引くか引かぬかということもなかったですね。あたる期間はあったです。四日に死体の発見があったですから、もう、そこに絞ったですから」

宇津弁護人=「この少時という者がいるかいないかについては、狭山市というものに限定しましたか、それとも周辺の入間市ですか、あの辺も一応あたったわけでしょうか」

証人=「入間市ですか、狭山市ですね。そう広範囲でなくてですね」

宇津弁護人=「狭山市に限定されたわけですか」

証人=「まあ、大体狭山市内、現地を中心に捜査員動いたと思います。そう遠くまで動かんと思います」

(続く)