アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 641

(狭山事件検証調書より転載。本文とは関係ない)

【公判調書1995丁〜】

                   「第四十回公判調書(供述)」㉔

証人=河本仁之(三十七歳・弁護士。事件当時、浦和地検検察官)

                                          *

主任弁護人=「あなたは殺害現場付近の耕作者という風に耕作者という言葉を使いましたが、あなたの記憶の中におぼろげにせよある、調書が作られている人というのは、五月一日に耕作していた人という意味ですね」

証人=「そうです」

主任弁護人=「殺害現場付近に五月一日に耕作していた人がいましたか」

証人=「いたかどうか知りませんが、そういう記憶があります」

主任弁護人=「五月一日に畑を実際にやっていた人の調書があったことを覚えているのですね」

証人=「畑を実際にやっていたかどうかまでは記憶ありません」

                                           *

裁判長=「出会地点付近の畑の所有者あるいは耕作者の調べをした警察官調書はなかったと思うというのですね」

証人=「そうです」

裁判長=「あなた自身その調書を取った記憶もないというのですね」

証人=「ありません」

裁判長=「あなたが調書を取った記憶があるのはどこの人ですか」

証人=「調書を取ったかどうか記憶は定かでないのですけれども、もし取ったとすれば殺害現場付近の畑に耕作というよりいた人の調書です」

裁判長=「警察官か何かの、殺害現場付近にいた人あるいは耕作していた人の調書があったということは大体記憶しているのですか」

証人=「はい。それは記憶しています」

                                          *

主任弁護人=「今、裁判長に答えたのは、五月一日に殺害現場付近の畑か田んぼかに耕作していたかどうかは別として現実にいた人の調書という意味ですね」

証人=「はい」

主任弁護人=「単にそこを所有しているという意味ではなくて五月一日に実際にその付近の田か畑にいたという人の調書の記憶があるわけですね」

証人=「そうです」

                                          *

石川一雄被告人(以下被告人と表記)=「狭山の面通しの部屋という部屋で証人に調べられたときのことから伺います。縄の件について証人に調べられたとき、私は全然それを知らなかったので、そうですか、というようなことを言ったら証人は、被告人は本当に知らないらしいな、保釈で出られる可能性があるが出ても逃げないか、というようなことを言った記憶がありますがどうですか」

証人=「そういう細かい問答については記憶ありません」

被告人=「湯呑み茶碗を投げようとして問答したことがありますね」

証人=「あります」

被告人=「あれは斉藤留五郎という留置場の出し入れの係で私の係だった人に止められてぶつけることが出来なかったのでありますが、その際、証人は暗に私の兄六造、カネコヨシハル、イサム兄弟を指して、三人共犯でやったのではないかというようなことを言って、私がもし兄貴がやったのならおれがやったことにしてくれ、兄貴は警察に一度も逮捕されたことはないからそんなことをするわけはないと言ったら、証人は兄六造の足袋が足跡と一致しているから兄さんがやったのではないかということを言い、そういういきさつで湯呑み茶碗を投げようとしたのです。先程そうではないと言いましたが、どうですか」

証人=「調書の署名の問題からそうなったと記憶します」

被告人=「何れ裁判長にお願いして大宮の主任という人に証人に立ってもらって明らかにしてもらいたいと思いますが、証人は私を調べるときはいつもこうやって(被告人は自分の前にある机の上に腰掛け、片方の足を他方の膝の上に乗せる格好を示した)調べましたね。それで私はそういう風にやられたのは初めてなのでおっかなくなって証人とそういういさかいを起こすようになって、多分狭山警察において三回ぐらい喧嘩したことがあります。当時諏訪部刑事課長さんとか大宮の主任、めがねをかけた頭のはげた人、名前はちょっと分かりませんがその人たちが河本検事ぼっちゃんのように私たちは机の上にけつを上げて、あぐらをかくことはできない、だから被告人はこわいのか、しかし私たちはそういうことはしないから私たちに善枝ちゃん殺しを教えてくれ、という風に言われました。そういう風にされて証人といさかいを起こすようになって河本検事には調べられたくないといって断ったのですね。その後は狭山警察においては多分証人には調べられなかったと思います。そういう意味で拇印を押さないとかああいう風にけんかになったのですが、どうですか。証人はこういう格好をして(先程と同様の格好を示した)自分はしゃがんでいたですね。証人はお茶を毎日飲んでいて、自分はそこでお茶を飲むということはできないから、証人の湯呑み茶碗を取って投げようとしたのです」

証人=「調べがかなり長時間になったので靴を脱いで足を自分の掛けている椅子の上に上げてあぐらをかいたような格好になったことはあったかも知れません」

(続く)