【公判調書1893丁〜】
「第三十九回公判調書(供述)」⑮
証人＝中 勲(五十七歳・埼玉県消防防災課長。事件当時、埼玉県警刑事部長)
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石田弁護人＝「張込ませた警察官は合計何名くらいだったんですか」
証人＝「実員三十名位じゃなかったかと思いますが、はっきりした記憶はございません。主としてこれは現地の狭山署長が掌握いたしておりますので」
石田弁護人＝「五月二日の夜、動員した警察官は、まあ県警本部の方が多かったんじゃないんですか」
証人＝「捜査一課から八名位だと思います。あとは全部地元の狭山署員でございます。これは当時特捜本部が県下に三つございまして、それを急きょ集めて応援に差し向けたと記憶しております。合計して八名位行ってると思います」
石田弁護人＝「五月二日から三日にかけての深夜の張込みに失敗したわけですね」
証人＝「はい」
石田弁護人＝「結局、特別捜査本部が設置されたのはいつでしょうか」
証人＝「確か三日朝、取逃して、警察本部長が現地に参りまして、相談しまして特捜本部を設けるということで例の堀兼の元役場跡を、あそこを市役所の支所になっておりましたのを急きょ借用しまして特捜本部を設けたのでございます。三日の昼頃までには作ったと思います」
石田弁護人＝「特別捜査本部の体制なんですが、組織といいますか、それはあなたが特別捜査本部長になられたんですね」
証人＝「はい」
石田弁護人＝「その下には将田さんですか」
証人＝「その下には警視といたしまして、山中鑑識課長、竹内狭山署長、それに加えまして、捜査一課の次席でありました将田警視、主としてこれが総括指揮を行なうと、そのほか警視としますと兼調査官でありました長谷部警視、そのほか刑事を五人ばかり配置しました」
石田弁護人＝「その五人のお名前は」
証人＝「捜査一課関係といたしましては山下警部、小島警部、防犯課におりました青木という警部、これは長く捜査をやっておりましたのでこれを本部長に借りました。これに狭山署から諏訪部捜査課長、刑事課長でありましたが、そんな顔ぶれだったと･･････」
石田弁護人＝「捜査一課の清水さんは」
証人＝「清水警部もおりました」
石田弁護人＝「この捜査本部の組織は今、あなたがおっしゃいました五名ほどの方が捜査班のそれぞれの責任者になられたと」
証人＝「班長ですね」
石田弁護人＝「そうすると、捜査は四つだったんでしょうか、五つだったんでしょうか」
証人＝「五つ位じゃなかったか、というような記憶でございますが」
石田弁護人＝「捜査班の場合に、特捜本部の組織として鑑識班というのもございますね」
証人＝「これは鑑識課長を中心にしまして」
石田弁護人＝「そのメンバーは何人位ですか」
証人＝「鑑識課長のもとに柴岡という警部がおりました。このほか指紋の関係の関根技官、これらがまあ一応班長格でございまして、そのほかに鑑識課員と狭山警察署の鑑識係が配置されておったわけです」
石田弁護人＝「通信班というのもございますね」
証人＝「はい、これは主として通信関係の保全のために関東管区警察局通信部から来ていただきました」
石田弁護人＝「関東管区から来てもらった」
証人＝「はい、これは埼玉県に関東管区埼玉県通信部というのがございますから、そこから来ていただきました。そのほか給食関係の仕事ですね」
石田弁護人＝「給食といいますと、食事の関係ですか」
証人＝「そうですね」
石田弁護人＝「それから捜査処遇班とかいうのはなかったですか」
証人＝「ございません」
石田弁護人＝「ところでその捜査班の総人員は各班集計しまして合計何名位だったでしょうか」
証人＝「これは事件の推移で多くなったり少なくなったりいたしますが、一番多い時で百六十人位と記憶しております」
石田弁護人＝「一番その、捜査班の人員が多かった時期というのは」
証人＝「死体捜索の時期ですね。機動隊を動員いたしておりましたから」
石田弁護人＝「機動隊は捜査班とは別じゃないんですか」
証人＝「一応捜査組織には応援の過程においては、毎日の編成書には入って来るわけです。一応人員といたしますと」
石田弁護人＝「その捜査本部の中で一番の長であるあなたは誰から報告を受けるような体制にあったんですか」
証人＝「一応将田警視が総括主宰いたしまして、将田警視が各班長から報告を受けまして、もっぱら将田警視を中心に報告を受けるという形ですが、時によりますと直接捜査会議に臨みまして、直接報告を担当のそれぞれの警部から受けるという形も取ったと」
石田弁護人＝「先程挙げた四、五名の警部の人から」
証人＝「将田警視と一緒に報告を受けるという様な形も取っておりました」
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写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集＝部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用。
