アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 594

【公判調書1866丁〜】

              「第三十九回公判調書(供述)」④

○証人=新井   実(三十五歳・埼玉県警察本部刑事部鑑識課勤務、技術吏員)

植木弁護人=「その肉眼検査をしたときに粉末を使用すれば出るかも知れないと、出る可能性があるだろうと判断して固体法の検出方法に着手したわけですね」

証人=「はい、そうです」

植木弁護人=「そうしますと、その出る可能性があると考えた根拠はどういうことでしょうか、万年筆の状態に関して言うと」

証人=「それは通常ですね、肉眼検査だけでは完全な検査とは言えないと思うんです。ですから一応、予備に固体法を使用したと、こういうことですが、ですから、通常手にとって見られないものがございますね、高いものとか、大きいものとか。これは一番初めからこの固体法でやる場合でございますが、一応手にとって見られるものは初めに肉眼検査をして後に固体法で、また、他の方法で検出するという方法をとっております」

植木弁護人=「そこで、その書面のように検査結果という欄がありまして、三個指紋採取とありますね」

証人=「はい」

植木弁護人=「三個というのはどこに付いておったか記憶にありますか、その写真でいった場合」

証人=「これは一応、図で書いてありますが、まあ、どこから取ったかということは今まで記憶になかったんですが、これを見てですね、この場所じゃないかと私思うんですが」

植木弁護人=「一号、二号、三号と書いてあるところにあったと、そういうことですか」

証人=「はい」

植木弁護人=「そういうことでそこに朱墨で書いたわけですね」

証人=「はい」

植木弁護人=「本文中にそういう趣旨が全然書いてないものですから分からなかったんですが、そういう趣旨ですね」

証人=「はい」

植木弁護人=「この文書によりますというと、その指紋は隆線模様は認められたということになっておりますね」

証人=「はい。これは隆線模様が認められたのは一号のように記憶しております」

植木弁護人=「一号だけですか」

証人=「そうです。ほかは隆線模様は認められなかったんですが」

植木弁護人=「そうすると、隆線模様が認められなくて、どういう状態だったんですか、二号三号は」

証人=「二号、三号は全然隆線模様が認められなかったわけですけれども、一応、転写をした関係上、一応採取したことにして、あとは対照不可能で落としていこうと、こういう風な判断で採取したわけです」

植木弁護人=「そうすると、要するに認められなかったという意味は、そこには指紋がなかったということですか」

証人=「そういうことです」

植木弁護人=「二号、三号には」

証人=「はい」

植木弁護人=「そうすると、結局指紋は一個しか採取できなかったということになるわけですか」

証人=「指紋の隆線模様が認められるのが一個ということです」

植木弁護人=「つまり、何というか指紋だと認識できる状態の模様が出てきたものは一個であって、他は」

証人=「他は全然隆線模様がないということです」

植木弁護人=「ないということは、つまり、そこに指紋があると認識できるような状態にはないということですね」

証人=「そうです」

植木弁護人=「それじゃ、その一号の隆線模様の状態を具体的に説明していただきますか」

証人=「これは一号の指紋は私大体記憶しておるんですけれども、一応その場でもって採取した指紋について拡大鏡をもって拡大して見たんですが、特徴点が、まあ普通、隆線模様ですが、隆線が接合した線と、それから切れている線が確か上下にあったと思うんですけれども、その特徴が三ヶ所しかなかったわけです。これではもちろん、比較対照ですか、異同識別の照合は不可能であると、こういう風に認めたものですから、一応、対照不可能として落とそうと、こういう風にしたわけです」

植木弁護人=「本文によりますと、特徴点と書いて括弧三ヶ所と書いてあるのは、特徴点が三ヶ所あったということなんですね」

証人=「特徴点ですね。一応指紋の場合、切れている線とか、それから接合している線、または短線ですね、点とか。そういうものが特徴と言われております。その特徴が一応三ヶ所あったけれども、異同識別ですね、それは不可能であると認めたために、一応、対照不可能だということになったわけです」

                                        *

(証人への尋問は続く)

○連休中の暇つぶしとして再び古本の整理を行う。

箱に収めた古本は狭山事件関連の書籍である。この事件に関連する全ての書籍を収集するとなると、その量は写真の三倍は上回るだろう。そして中には「私は事件をこう推理した」という、主観に満ちた読むに値しない駄本・堕本も一部存在し(事実、箱の中に七冊ほどある)、いかに情報入手、つまり本を買う際、その内容の分析および選択(買うかどうか)が大切か思い知らされる。

こちらの木箱へは、狭山事件をより深く掘り下げるための古本を詰めた。その量は少ないが。写真右「狭山市史」は中々古書価が高く手が出ないでいたが、数年前、埼玉県の入曾付近で経営していた「本だらけ」という古書屋の閉店セールで入手できた。セール価格により一冊二百円という破格値であった。左側の「ポリグラフ検査」「足跡」などは高円寺・西部古書会館で行なわれる古本市で発見、もろに狭山事件の捜査に直結してくる内容ゆえ入手した。