アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 458

【公判調書1564丁〜】(前回より続く)

                       「狭山事件の特質」

                                                                           中田直人

5.『その年(昭和三十八年)の三月末、東京台東区で村越吉展という子供が誘拐され、身代金を奪われながら目前で犯人を取り逃したという事件があった。五月当時、吉展ちゃんの生死さえ判らずその犯人の目星は全くつかなかった。度重なる失態に「警察は何をしているのだ」という轟々たる非難が巻き起こった。本件では、吉展ちゃんの事件における捜査の不手際が叩かれた後だけに人々の衝撃も大きかった。篠田国家公安委員長は「今度の女子学生事件は吉展ちゃん事件以上の不手際だった。このような事件が相次いで起こることは国民に大きな不安を与えるので、国家公安委員長としても十分検討したい」と語り、警察庁・宮地刑事局長は「犯人を逃したことについては、現在いっさいの弁解をすべきではない」と頭を垂れた。

六日には、臨時国家公安委員会が開かれた。七日、衆参両院の地方行政委員会で、警察行政の在り方や捜査のミスについて警察当局の責任が激しく追及された。八日、参議院本会議でも特に国家公安委員長に対する質問がなされた。十日には、全国管区警察局刑事課長会議が開かれ、吉展ちゃん事件の捜査の再検討と今後の方針が討議された。警察の失態については、その年の日本弁護士会連合会総会で、刑事警察の充実を決議させるほどの議論を呼んだ』(続く)

*なるほど、狭山事件が発生する直前に、かの有名な吉展ちゃん事件が起きていたわけだ。両者は身代金の要求方法が電話と手紙という違いはあるが、誘拐直後に殺害、その後に身代金を要求するという共通点が見られる。だが吉展ちゃん事件の犯人は、その目的が完全に金目当てであり、目論見通りそれを遂行している。しかし狭山事件ではやや犯行の趣きが異なり、例えば事件発生日が被害者の誕生日であったり、その日の被害者の行動が誰かと待ち合わせしていたフシがあり、犯人による一方的で無計画な犯行という解釈は成り立たない。誕生日。待ち合わせ。このようなキーワードが存在するがゆえ、この狭山事件は吉展ちゃん事件と似ていて非である。

写真は、吉展ちゃん事件に興味を持った場合必読の書である。が、これを今入手するとなるとネット上では高値が付けられカモられる。つぶさに図書館の蔵書検索を行ない、そこで読むことが正解だろう。