【公判調書1436丁〜】証人=遠藤 三(六十七才)・元警察官
裁判長=「(昭和三十八年六月二十四日付被告人の司法警察員青木一夫に対する供述調書=記録第七冊第二〇七〇丁以下添付の図面、第二〇七四丁、第二〇七五丁を示す)第二〇七五丁の図面の石川一夫(一雄)の指印のしてある裏に指印という字が写っていますね」
証人=「見えます」
裁判長=「誰かがそういう風に跡が付くような細いもので書いて、そこに石川があとで指印をしたという記憶はありませんか」
証人=「記憶ありません」
裁判長=「石川が自分で指印と書くわけはないでしょう」
証人=「はい」
裁判長=「どうしてそういう字の跡が付いているのですか」
証人=「・・・・・・・・・」
裁判長=「それは時計を捨てたところという様な地図だが、なぜ指印という字が残っているか証人は知りませんか」
証人=「知りません」
裁判長=「そういうことを石川が自分で書いたことはないでしょうね」
証人=「そんなことはないですね」
裁判長=「石川が署名する前に細いものでそこに指印をするよう、しるしがしてあったのでしょうか」
証人=「そんなことはありません」
裁判長=「するとどうしてそういう跡が付いているか知りませんか」
証人=「どうして付いたか知りません」
裁判長=「(昭和三十八年六月二十五日付被告人の司法警察員青木一夫に対する供述調書=記録第七冊第二〇七六丁以下添付の図面、第二〇九一丁ないし第二〇九六丁を示す)それらの図面には鉛筆書きのほかに何か細いもので書いた様な跡があるでしょう」
証人=「あります」
裁判長=「石川が書くときに紙にそういうものが書いてありましたか」
証人=「ありません」
裁判長=「そういう跡のある紙を石川に渡して書かせたという記憶がありますか」
証人=「ありません」
裁判長=「そうするとそこにある線や字の跡は何ですか」
証人=「これは謄本を取ったときの跡ではないかと思います」
裁判長=「その図面の写しを取ったのですか」
証人=「謄本を取っているようでした。私は取ったわけではありませんけれども」
裁判長=「どうして謄本を取っているようだったということが証人に分かるのですか」
証人=「隣の部屋でやっていたから」
裁判長=「調室の隣の部屋でですか」
証人=「調室の次の次の部屋あたりで謄本を取っておりました」
裁判長=「石川の図面が出来、調書に綴られているが、調書が出来てから図面の謄本を取るのですか」
証人=「調書が出来てから調書の謄本と一緒に取ったのもあると思います。そうでなくて調書は調書、図面は図面という風に途中で取られたのもあると思います」
裁判長=「図面の方を先に写し取ったのもあるのですか」
証人=「そういうのもあったと思います。一冊に綴ってから取ったのもあると思いますが、綴らない内に取ったのもあると思います」
裁判長=「謄本を取るのは調書が先か図面が先か、どちらとも決まっていなかったのですか」
証人=「どちらが先ということではなかったと思います」
裁判長=「それは調室から一つおいた部屋で行われていたのですか」
証人=「一つおいた部屋かどうか覚えていませんが、いずれにしても別室です」(続く)