アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 427

【公判調書1440丁〜】証人=遠藤 三(六十七才)・元警察官

裁判長=「調書の謄本はどういう風にして取ったのですか」

証人=「私の見たのを言うと、一人で全部取ったのもあるようでしたが、一冊のものをこっちの人が二枚、こっちの人が三枚、こっちの人が四枚という様な具合に取ったのもあると思います」

裁判長=「改良半紙一枚に写したのはどういう風に始末したのですか」

証人=「取った謄本は記録の謄本に一緒に綴ってあります」

裁判長=「その場で綴るのですか」

証人=「その場ではないです」

裁判長=「謄本を取って、それをどうしましたか」

証人=「あまり記憶ありません」

裁判長=「誰かがどこかにしまったか、綴じたか、どこかへ持って行ったか」

証人=「謄本を取った連中が一まとめにして綴った様でしたが、誰がどういう風に綴ったか記憶ありません」

裁判長=「見ていないのですか」

証人=「見たことがあるかも知れませんが覚えていません」

裁判長=「今示した、図面にある跡は改良半紙に写し取った時の跡ではないかと思うと言うわけですね」

証人=「そうではなかろうかと思います」

裁判長=「川越分室で謄本を取ったと言うが、石川が書いた図面を川越分室以外に持ち出し他の場所で謄本を取ったことはありませんか」

証人=「そういうことはないと思います」

裁判長=「はっきりそう言えますか」

証人=「言えます」

裁判長=「堀兼の捜査本部で写しを取ったことはないのですか」

証人=「堀兼の捜査本部で取ったことは私は記憶ありません。あるいはそういうことがあったかも知れませんが、私の知る範囲ではそういうことはありません」

裁判長=「石川が図面を書くときに、中にカーボン紙を入れて書いたことは全然ありませんか」

証人=「ありません」

裁判長=「(昭和三十八年六月二十三日付被告人の司法警察員青木一夫に対する供述調書=記録第七冊第二〇四〇丁以下添付の図面、第二〇四九丁、第二〇五〇丁を示す)その図面は下にカーボン紙を入れて複写したのではないかと思われる様に、裏が黒くなっているでしょう」

(上二点は第二〇四九丁)

(こちらの二点が二〇五〇丁。合計四点の写真は表面であり、裏面の状態を写した写真は手元の資料には無い)

証人=「はい。しかしこれは石川がやったのではないです。私の知っている限りにおいてはカーボン紙を調室に置いたことはありません」

裁判長=「被告人は、遠藤さんが鉄筆などで図面を書いて、跡の付いた通りに書けと言ってその通りに自分に書かせたということを言ったが、そういうことはありませんか」

証人=「ありません」

裁判長=「一回もありませんか」

証人=「ありません」

裁判長=「青木警部がそういうことをしたことはありませんか」

証人=「ありません」

裁判長=「あらかじめ図面を証人なり青木警部が書き、この通りに書けと言って石川に書かせたことはありませんか」

証人=「ありません」

裁判長=「あるいは石川が図面を書いているときに青木警部なり証人が、そこは違う、あそこは違うという風に言って直させたことはありませんか」

証人=「ありません」

裁判長=「(昭和三十八年六月二十一日付被告人の司法警察員青木一夫に対する供述調書=記録第七冊第二〇〇四丁以下添付の図面、第二〇一〇丁を示す) その図面の上方の中央よりやや左に“さのや”と書いてあるところのすぐ右に、横の線のところへ下から上方に交わって上に突き抜けて書かれている線があるが、石川は、そこを下から上へ突き抜けて書いたら、突き抜けるのではないと遠藤さんに叱られたと言ったが、そういうことがありましたか」

証人=「私は石川を叱ったなどということは恐らくありません」

裁判長=「今言ったところが突き抜けたということで、叱るというか注意したことはありませんか」

証人=「ありません。こういう細かいことで叱ったと言いますが、私は、石川君を叱ったということでなく注意するとでも言うか、そういうことは、考えてみると、石川君が鞄だったか何かを捨てた場所を図面に書きそれを関部長が持って捜索に行った、ところが関部長は泥まみれになって“無い”と言って帰って来たので、そこで“人を騙すものではない”ということを私は言ったことがあると思います。それ以外に私は怒ったようなことは無いでしょう」(続く)