アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 350

【公判調書1293丁〜》                                                 《第二十九回公判調書(供述)》                                                                                                                              昭和四十三年十月一日 東京高等裁判所第四刑事部

○裁判長判事=久永正勝(以下、裁判長と表記) 

○出頭した被告人=石川一雄

裁判長=「被告人は、この事件が起こる前に野球をよくやったということを言っているね」

被告人=「はい」

裁判長=「その野球というのは軟式野球か」

被告人=「そうです」

裁判長=「関源三という警察官は何回も被告人と一緒に野球をやったことがあるのか」

被告人=「あります」

裁判長=「どこでやったのか」

被告人=「どこといって特定のところはありませんが、日曜日に狭山精密のグランドを借りたり入間川中学校あるいは小学校のグランドを借りるとか、その時によっていろいろ借りました」

裁判長=「被告人は野球をするときにユニホームを着たのか」

被告人=「着ました」

裁判長=「ユニホームを持っていたのか」

被告人=「はい、持っていました」

裁判長=「それは自分たちの仲間の決まったユニホームなのか」

被告人=「そんなことはございませんが、私は東鳩に勤めていたので東鳩のユニホームとか、青年で作ったジャイアンツというユニホームを持っていました」

裁判長=「関源三は、石川はもし自分が死刑になったらユニホームを入れてくれと言った、という風に証言しており、入れてくれと言うのは棺の中に入れてくれという意味だろうと思われるが、被告人は関源三にそういうことを言ったことがあるのか」

被告人=「ちょっと分からないですけれども関さんがそう言ったのなら、言ったと思います」

裁判長=「それを言ったのは三人の共同犯行だとか、あるいは単独犯行だとかいうことを言う前か後か」

被告人=「後だと思います」

裁判長=「いわゆる自白をした後だね」

被告人=「はい」

裁判長=「死刑などという言葉がどうして出たのか」

被告人=「それははっきり分かりません。警察官が言ったのか誰が言ったのかちょっと分かりません」

裁判長=「三人でやったとか一人でやったとかいうことを、嘘にもしろ関に対して言った時に、そんなことをすれば死刑になるんだぞというような事でも言われたのか」

被告人=「それははっきり分かりませんが、ただ長谷部さんに、自白しなければ殺して埋めてもうちの親父なんかには逃走されちゃったと言えばわからないんだと言われたので出たと思います」

裁判長=「死刑というものがあることは当時知っていたね」

被告人=「知っていました」

裁判長=「どういうことをすれば死刑になると思っていたか」

被告人=「それははっきり分かりません」

裁判長=「あれが死刑になったとかいうことを話に聞いたことはないか」

被告人=「ないと思います。そういうことは全然関心が無かったですから」

裁判長=「自分がもし死刑になったならば、ユニホームを一緒に入れてくれということをもし被告人が言ったとすると、どうして死刑の話が関との間で出たのか」

被告人=「それはどうして出たかちょっと分かりません」

裁判長=「長谷部が、自分たちは刑事だから石川を殺して埋めてもわからないんだと言った、というのは死刑とは違うだろう」

被告人=「はい」

裁判長=「だから長谷部のそういう話から死刑という言葉が出たというのでは繋がりが付かないね」

被告人=「・・・・・・・・・・・・」

裁判長=「単独犯行ということを関に自白してから、こんなことをしたら死刑になるのかというようなことを関に尋ねたことがあるのか」

被告人=「そんなことを聞いたことは多分無いと思います。死刑というのはよく分からなかったから多分聞かなかったと思います。それに三人から一人と言ってからは関さんとは一回ぐらいしか会わなかったと思います。だから恐らくそういうことは聞かなかったと思います」

裁判長=「どういうことから死刑という言葉が出て来たか覚えが無いのか。自白した後あるいは自白する時に、もし一人でああいう脅迫状を渡したり中田○○(被害者名)を強姦したり殺したりしたら死刑になるんだということを考えたことは無かったか」

被告人=「なかったですねえ、そういうことは全然。ただ十年で出してくれると言ったからそのことばかり考えていたです」

裁判長=「そういうことをしても十年で出られると思ったのか」

被告人=「そうではないです。当時悪いことをうんとしちゃったから、ひっくるめて十年はどっちみち出られないと言われたので、○○(被害者名)ちゃんの事件も俺がやったと言っても十年で出られるのかと思ったです」

裁判長=「他の事件と○○(被害者名)ちゃん殺しの事件をひっくるめて十年だという風に長谷部が言ったというのか」

被告人=「殺さないと言っても十年は務めるんだと言われました。だから前回証人に立った池田正士も言った通り、悪いことも結構やっちゃったから十年で出られるならいいと思いました。三十五で出られればいいなあと思いました」

裁判長=「被告人は最初警察で調べられた時は○○(被害者名)ちゃん殺しなどやっていないと言っていたが、関が出て来て、関に対して三人でやったということを言い、それから日を置いて一人でやったと言った。そして一審の浦和地方裁判所でもその通りだという風に言って来て判決を受け、そしてこの裁判所に来て最初に自分は殺していないと言い出した。それからずっと調べてきた訳だが、今までのことを被告人はどう考えているか」

被告人=「○○(被害者名)ちゃんを俺が捕まえたというところだって嘘だということが大体わかっていたと思うから、そういうことから考えたって俺は殺していないということは裁判長に分かって頂けると思います。だからさっき却下になった証人のおばあさんにも是非出てもらいたいと思っています」

裁判長=「この事件について特別に言いたいことはないか」

被告人=「別にないです」     以下余白

*迂闊なことを口走ると圧力団体が押し寄せる危険があるが、今回引用した調書でも明らかな様に、狭山事件をこれほど拗らせた根源は関巡査、長谷部梅吉、清水利一といった小悪党にあろうか。

(写真は、狭山差別裁判・第三版  部落解放同盟中央本部編  部落解放同盟中央出版局より引用)

この写真を引用した以上、老生には、ありとあらゆる団体から圧力を受ける危険が発生するが、それも良かろう。狭山の黒い闇を暴くには、むしろ歓迎である。