【公判調書1206丁〜】
中田弁護人(以下、弁護人と記す)=「あなたの自白を見ますと、問題になっている脅迫状を書いたのは、四月二十八日だという風になっているんですけれども、四月二十八日に、実際あなたは何をしたか憶えていますか。三十日に選挙があったですね」 被告人=「二十九日に兄貴と一緒に仕事をやったと思いますから、あるいは崎山くんなんかと西武園へ遊びに行ったかも知れませんけれども、兄貴の柱の手伝いをしたかも知れません」 弁護人=「はっきりしませんか」 被告人=「はい」 弁護人=「水村さんの仕事を、当時兄さんはしていたでしょう」 被告人=「はい」 弁護人=「その柱の仕事をしたか、あるいは崎山くんなんかと西武園へ遊びに行ったかですか」 被告人=「ええ、その辺はっきりしません」 弁護人=「その自白によりますと、何か “リボンちゃん” とかいう雑誌を見て、それから字を拾いながら脅迫状を書いたんだということになっているんですけれども、“リボンちゃん” という雑誌を見たことがありますか」 被告人=「ないです」 弁護人=「“リボン” という雑誌の名前を、あなたのほうから口に出したことはないですか」 被告人=「ちょっとわかんないですね。うちにもそういう物は無いから、警察のほうでうちを調べたと思いますが、仮に美知子が借りていたとしても、警察の人が借りていた先を調べたと思いますから、多分ないと思います。何とも言ってなかったです」 弁護人=「あなたとしては、ともかく “リボン” という雑誌を家で見たことはないのですか」 被告人=「ないです」 弁護人=「警察で雑誌を見せられたことはありませんか」 被告人=「ええ、二宮金次郎が付いてる本だと思います」 弁護人=「二宮金次郎が付いているというのは何ですか」 被告人=「二宮金次郎の絵がはいっていた本を見せられた記憶がします。それが “リボンちゃん” だったと思います」 弁護人=「 “リボンちゃん” だったと思うというのは、ともかく見せられたというんだね」 被告人=「はい」 弁護人=「それで、その雑誌の名前が ”リボンちゃん” だったと思うんですか」 被告人=「はい」 弁護人=「と、警察では “リボンちゃん” というのを見せられたことになるわけですか」 被告人=「はい、見せられました」 弁護人=「それはどこにあった雑誌かわかりますか」被告人=「新しかったです。買ってきたのかも知れませんけれども、判りません」 弁護人=「あなたは、その雑誌を家で見たことはありますか」 被告人=「ありません」 弁護人=「二宮尊徳が付いている雑誌ですよ」 被告人=「なかったと思います」 (続く)
被告人が「二宮金次郎」〜と発言しているのに対して弁護人は「二宮尊徳」と発言、同一人物であるので表現は統一してほしい。