アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 23

「狭山裁判と科学」第二章【土壌】において、生越 忠  ( 和光大・地質学 )は、警察による土壌鑑定( 星野鑑定)に対し「この鑑定があまりにも多い不知の要素に基づいて、それを適当にまとめあげただけの、ずさんきわまりないものであること、したがって、鑑定の名に値しないものであることには、いささかの変わりもありません」と切り捨てる。ここで、土壌データ操作に絡め、つぎの事例を引き合いに出す。新潟県柏崎刈羽原発の基礎地盤調査にさいし、検査項目の二分の一ないし三分の一に及ぶ資料の捏造。理由は軟弱で不均質な地盤を堅硬で均質な地盤であるかのようにみせかけるため。鹿児島県川内原発においても同様、県による地質図の捏造、九州電力によるボーリング資料の捏造。愛媛県伊方原発では四国電力の申請書においてデータ改ざん、審査をパスさせる。など。日本国内の原発は概ね軟弱な地盤の上に建設されていることが分かる。我が国は捏造天国であった。さて、本章は土壌鑑定の問題につづき玉石の問題に移るが、ここにまず弁護側の論を本章を交えて書き出そう。玉石とは埋没されていた遺体の頭部付近に置かれていた石塊を指すのだが、これは古くから狭山地方に伝わる葬送の習慣とされる。しかし被告の住む同地方の、当時被差別部落にはそのような習慣は存在せず、したがってこの埋没を実行した者はその葬送の習慣を知っている人間となり、ゆえに被告は犯人ではあり得ない、というのが弁護団と本書のスタンスである。対し警察・検察側の論は、ようするに、たまたま石ころが紛れ込んだだけであり、深い意味は無いと、やや雑に言うとそういうことである。この玉石問題も本章にて看破され、本書第二章【土壌】は「玉石の存在は〜被差別部落以外に住む人のなかに真犯人がいることを明らかにしたものといいうる」と締めくくられている。                      

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