三億円事件において、犯人が盗難車を団地内の駐車場に隠遁していた事実は知られるところだが、犯行に使用されたカローラ以外に、スカイラインの名が見受けられる。犯行日は1968年12月10日。 スカイラインは一年前に盗まれている。1967年までに販売された、プリンススカイラインか。
ここで私は、強引な主観で推理を試みた。
プリンススカイラインといえばS54B
三億円事件犯人はカーマニア(主観)
カーマニアといえばS54B すると、
小金井の団地駐車場に隠遁されていたスカイラインとは、プリンススカイラインS54Bではないのか?
この推理のきっかけとなった記事が存在する。
(八重洲出版オールドタイマー1995年2月号P.72より引用)
旧車修理専門誌オールドタイマー連載のS54Bレストア記事で、右後部ピラー、インナーパネルに四角い穴が開けられていて、修理者が疑問を呈する様が掲載されていた。
写真からの推測になるが、開けられた穴の容積では三億円は収まらないと思われる。このレストア記事では両サイドのアウターパネルが外されたか、未確認であるが両サイドのインナーパネルの容積でもっても三億円全額の隠匿は無理か。(目測だが)
このレストアベースになった車両の車検証を調べれば歴代所有者が判明し、この穴がいつ何の為に、誰が開けたか、そこにたどり着けるのではないか。 この穴を開けるには、アウターパネルを外したり戻したりと、手間と技術そして工具類が要るのだ。 ここに、私が三億円犯人がカーマニアだと断言する理由がある。 クルマの板金。この板金まで手を出す車好きは重度の車病で、エスカレートするとサビた車にしか板金欲求が湧かない廃人と化す。この辺はオールドタイマー誌のバックナンバーを熟読すると納得がいくのだが。 犯人は嬉々としてこの板金作業をこなしただろう。
強奪した現金の一部をこのインナーパネルの空洞に隠し(アウターパネルが蓋がわり)保管、偽造ナンバーと偽造車検証で補えば、動く金庫と化し、余裕で安全圏へ移動できる。
後日談であるが、当該車両は所有者の手によってインナーパネルの穴は修復され、車両自体が完璧にレストアされ、その後手放されたようだ。
三億円犯人が盗んだプリンススカイラインがS54Bではなかった場合、私の推理はかなり無駄な妄想に終わるのである。
さあ、一杯いこうか。