工作好きの犯罪者は好ましい。
一枚のベニヤ板から、半分をニセ夜間金庫事件に、 残り半分を大丸恐喝事件に使用した為、後に両事件は同一犯人と断定されてしまう。材料ロスを無くす努力が仇となったが、この犯人のアイデアは秀逸だ。仮設金庫を作ってしまうという職人芸!
紙の上でなら、いくらでも不可能を可能に書けるが、この犯人は現実において、目的達成まであと一歩まで及んでいる。特にニセ夜間金庫においては、客が想定以上に現金袋を投入したが故に、仮設金庫が変形し、犯行発覚へとつながった。
犯人の目論見通りニセ案内図に誘導された客たち。 仮設金庫の出来映えも非常に良く客足が途絶えない。犯人は現金袋を回収するタイミングが掴めず、変形してゆく自慢の仮設金庫を尻目に、現場を後にした。
私は、その構想と実現以上に感服したのは、現金袋に手をかけず消えた、犯人の判断力だ。ここで現金奪取に執着したならば、犯人は捕まっただろう。 金は取れなかったが、奇想天外な発想に拍手。一方、大丸恐喝事件のクライマックスで登場する、リアトランク底部を加工された車両。ここでも手の込んだ細工が判明し、犯人の職人的こだわりを感じさせる。 なお、この場面では捜査陣が到着する寸前に、一台の車が猛スピードで走り去った事実が後に判明する。
ニセ夜間金庫事件、大丸恐喝事件ともに迷宮入りである。
(当時の妄想捜査メモが残っていた)
玄翁に関してだが、軟鉄製の胴体両端部に鋼を鍛接した仕様の玄翁は、全鋼作りと比べ、一日中それを振るっていると、腕にかかる負担が少ないという。鋼部が釘を打ち、その衝撃は軟鉄部が吸収してくれるからだ
筆者所有の玄翁。打面に鋼が鍛接されている。胴体は軟鉄材。
なんだか「大工道具バンザイ!」みたいな記事になったな。
妄想と現実がゴッチャ混ぜの日々に乾杯。