アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 932

桜が満開を迎え、待望の春へ突入しつつある。それではと、川越市某所に住む野良猫へ挨拶に出かけ、ついでに餌を献上し、老生の金運上昇を祈願した。果たして、この野良猫は招き猫としての能力を発揮してくれるかどうか。

【公判調書2939丁〜】

                    「第五十五回公判調書(供述)」

証人=小島朝政(五十六歳・財団法人埼玉県交通安全協会事務局長)

                                            *

石田弁護人=「何かね、あなたの部下の警察官がね、近くの民家から鍬なぞを借りて茶畑なんかの中も捜索したという証言しているあなたの部下だった人もいるんですけれども、そういうことは聞いておりますね」

証人=「今、記憶ございません」

石田弁護人=「当時は聞いたと思いますか」

証人=「それは、今ここで問われても、ちょっと思い出しません」

石田弁護人=「民家からね、捜す道具を借りてね、茶畑なぞも捜したと、そういうことも記憶がないですか」

証人=「ございませんです」

石田弁護人=「もし、民家から茶畑を捜すために有用な道具などを借りて捜しておったということが、これはあなたの部下が証言しておるんですから間違いないことだと私は思うんですがね、そう簡単に、その手を抜いた形で捜索がなされたとも考え難いんですけれどもね。そういう事実からすると、報告はやはり、こまめに徴しておったんじゃないですか」

証人=「当時は聞いておったと思いますが、今は記憶がございません」

石田弁護人=「それでね、あなたの今朝ほど来の証言の中身からいくと、要するに自分の、たとえば石原係長も、道の真ん中に捨てたってまあ多分ないだろうというような感じで、まあ捜して見ろと自分が命じて、部下が最初その付近を捜したんだけれども、結局見つからなかったので、それで近所の家からいろいろ聞込みをやるようにしたと、こういう趣旨のことを言われましたね」

証人=「はい」

石田弁護人=「だから警察官の捜索が、近所の聞込みよりは先の段階でなされておるわけですね」

証人=「そうですね」

石田弁護人=「先ほど、橋本弁護人が時計が発見された実況見分調書の写真を示してビニールの袋について質問しましたね」

証人=「はい」

石田弁護人=「時計が発見された日に押収して署に持ち帰るには、発見された時計を裸で持ち帰りましたか、それとも、何かに包んで持ち帰りましたか」

証人=「これはやはりですね、鑑識で設備利用しているところのビニールの袋へ納めて、原形を失わないような方法で持って行ったと、そんな風に思いますが」

石田弁護人=「その鑑識で使用するビニールの袋というのと、時計発見現場に、時計の直ぐそばに置かれてあったビニールの袋というのは、ほぼ同じくらいの大きさでしたね」

証人=「警察の証拠品を入れるものはそういう風な大きいものではないんです。もちろん品物にもよりますが、時計を入れて持ち帰ったものは、そういう大きなものではないように記憶しております」

石田弁護人=「警察で使う証拠品を入れたりするために当時使っていたビニールの袋というのは、大きさが何種類かの袋が用意されていたわけですね」

証人=「そうですね、大小さまざまなものがあると思いますが」

石田弁護人=「時計の近くで発見されたビニールの袋を領置されなかったということですが」

証人=「時計の近くで発見・・・・・・」

石田弁護人=「いやいや、時計が発見された近くで同じく発見されたビニールの黒い袋ですね、ほこりが付いていたという」

証人=「はい」

石田弁護人=「そのビニール袋を領置しなかったというのは、あなたの権限で領置されなかったわけですか」

証人=「そうでございます。私は当時、必要だということを感じなかったので、領置致しませんでした」

石田弁護人=「将田警視は時計発見現場には見えなかったですか」

証人=「来たでしょうね、来たと思いますね」

石田弁護人=「あなた、現場でね、そのビニール袋を領置するかしないかということでね、上司と相談した記憶はないわけですか」

証人=「ちょっと、そこまでになると覚えておりませんですが」

石田弁護人=「決めたのは自分で決めたような記憶があるわけですね」

証人=「そんなように思いますが」

石田弁護人=「領置しなかった理由については、時計とは、発見された時計とは関係がないと考えたからですか」

証人=「はい、そうです」

石田弁護人=「何か、関係がないとあなたが判断される根拠がありましたか」

証人=「別にございませんが、どうもそのビニールの袋というのは非常に、もう汚れた、何か菓子袋に使用されたか、何か物入れに使った、相当古びて汚れたものであるので、これはもう全然無関係のものだと思って、敢えてビニール袋は領置しなかったんですがね」

石田弁護人=「要するに、領置の必要を感じなかったということですね」

証人=「はい」

(続く)

                                            *

○発見された腕時計の近くには古びて汚れたビニール袋があった。腕時計とは関連性がないだろうとの判断から、このビニール袋は領置されなかったという。

だが、もし何者かが、何らかの意図を持ってこの茶垣に腕時計を置いたのではないかと推察した場合、このビニール袋は重大な意味を含むことになる。それとは腕時計を置きに来た人物自身の指紋の付着を避けるため腕時計をビニール袋に入れ運び、この発見場所に両方とも放ったとしたならば、上述の発見状況の説明がついてしまうからである。袋の外側には指紋が付着する以上、領置しては不都合を生むビニール袋の存在は無視され、腕時計を置きに来た人物の目的は果たされたことになろう。

冒頭の写真を撮った直後、野良猫は右手を舐め出した。おお、これは招き猫と化す前の儀式ではないか・・・先日購入したロト7に期待は高まるのであった。