アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 804

被害者の目隠しに使われたタオル。写真二点は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用。

【公判調書2485丁〜】

                 「第四十八回公判調書(供述)」

証人=石原安儀(五十七歳・警察官)

                                            *

橋本弁護人=「証人は月島食品工業株式会社まで行ったことがあるんですか」

証人=「あります」

橋本弁護人=「屍体に目隠しがしてあったタオルがありますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「このタオルは何年に作られたものであるか聞きましたか」

証人=「これは・・・・・・多分昭和三十四、五年頃のように記憶しています」

橋本弁護人=「三十四、五年に作ったものですか」

証人=「  。」

橋本弁護人=「何か目印があるんですか」

証人=「というのはあのタオルが月島食品に行きましてタオルを見ましたです。そうしたらあの時のタオルが私の記憶では字の角度がちょいと違っていたので前の型のタオルのように記憶しております。それだから従って三十四、五年頃じゃなかったかなというような記憶です」

橋本弁護人=「字というのはどの字ですか」

証人=「要するにテーブルマーガリンのその字のあれが同じ型紙ならば同じように印刷されるんだけれども、型紙が違うとその字の角度が違っていたように私は思うんですけど、だから従って三十四、五年に作ったんじゃなかったかなというような記憶があります」

橋本弁護人=「その字の角度が違うというのはテーブルマーガリンという字全体ですか、それともその内のどの字か」

証人=「さて、はっきり記憶ないんだけれども多分、字のあれのように記憶がありますが、どれがどういう風にということは記憶にありません。当時の記憶が正しいんだと思います」

橋本弁護人=「もっとはっきり聞きますと、三十四、五年より前に作ったものと、三十四、五年よりも後に作ったものがあると、そういうことなんですか」

証人=「そういうことです」

橋本弁護人=「それが字の角度によって区別出来るんだと、こういうことですか」

証人=「そういうことです」

橋本弁護人=「その屍体についておったタオルは字の角度はどうなっておりますか」

証人=「それは字の角度については私はっきりとどういう具合に字の角度が違ったかというのは申し上げられませんが、当時の要するに三十八年に月島食品で中元とか年賀に出していたタオルと、その字の角度が違っていたのでこれは前作った製品であるということを言われたのが記憶に残っております」

橋本弁護人=「私が聞いておるのはその字の角度が違うというのはどういう風に違うのかということを聞きたかったんですが」

証人=「どういう風に。そう言われるとはっきりこの点がこうだということはどうも当時の記録に出てることがあれなんで、ただ字のあれが違うということだけです。記憶に残っているのは。ほかは分かりません」

橋本弁護人=「と、同一種類のタオルですね。このタオルはいつ頃から作られていたんですか」

証人=「だから今申し上げたように三十四、五年」

橋本弁護人=「三十四、五年から作り始めたんですか」

証人=「そんなような記憶があります」

橋本弁護人=「で、いつ頃まで作っていたんですか」

証人=「だから恐らくあの時に私の記憶では三千本がいくらか欠けてるようです」

橋本弁護人=「何年まで作っていたかということを聞いておるんです」

                                            *

裁判長=「三十四、五年頃に作った型紙によって作られたタオルは三千本欠けたものの一本がその時使われたという風に考えたと、こう言うんでしょう、あなたの言われるのは、三十四、五年に作られていたと同様の型紙によって作製されたタオルが何年頃まで作られていたかという問いですか(注:1)」

                                            *

橋本弁護人=「そうです」

証人=「それはやはりその頃だけだと思います」

橋本弁護人=「そうすると、それと違う型のタオルがその後も作られておったということになるわけですね」

証人=「それは記憶に残っております」

橋本弁護人=「それがいつ頃まで作られておったんでしょうか」

証人=「いつ頃まで作られたかという点は分かりませんが、当時の記録に出てることが正しいんであって、そう詳しいことについてはそれほど記憶はないんです」

                                             *

裁判長=「三十八年には型が改まったのか」

証人=「そうです」

裁判長=「三十四、五年頃に作ってたのを改めた型紙は三十八年に初めて変わったのか、三十八年と三十四、五年の間にも変わったのか」

証人=「三十七年頃に変わったんじゃないかと思います」

裁判長=「本件と同じものを変えたのは三十七年に至って初めて変えたんだと思うと」

証人=「三十七年頃じゃないかと思います」

(続く)

                                            *

(注:1)この「」(カギカッコ)内の文は調書記載の通りに一字一句正確に引用しているが、私にはこの文章の趣旨を完璧に理解することは難しい結果となった。分かりにくい文章は句読点を打つ位置を変えると読み易くなる場合が多い。いずれ暇を見て、この文章の句読点を打ち直すなどし、完全理解に努めたい。