アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 763

鞄の下から見つかった牛乳瓶、ハンカチ。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用。

【公判調書2390丁〜】

                     「第四十七回公判調書(供述)」

証人=清水利一

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石田弁護人=「鞄の中を見せなかったというのは、あなたの仰る立会人の二人に対しても見せなかったということですね」

証人=「立会人にも見せなかったと思いますね、下の物は見るも見ないも見ておりますが」

石田弁護人=「中の物をどうして見せなかったんですかね」

証人=「まあ、それほどの必要もないと思いますから。鞄であるが、何が入っているか全部やると田舎ですから、あれがあった、これがあったと吹聴されるものですから、それだけは隠したわけです。鞄の下にあった物は見られても仕様がないと」

石田弁護人=「ただ、立会人として頼んだ人なら見せても差し支えないと思いますが、どうですか。あるいは見せるべきだと、むしろ考えるべきとも思うんですが」

証人=「それは見解で、そういう風にあれでしょうけれども、鞄を見せてその下にあった物二、三点ぐらい見せておりますから、もう中の物までいちいち調べなくてもいいと捜査員は見ておりますが」

石田弁護人=「まあよく分からないが結局、中の物は民間人には見せなかった記憶があるということですが、鑑識の人が行っておったんじゃないですか」

証人=「鑑識の人はもちろん同行しております」

石田弁護人=「するとその場で鞄を開けて中の物を検出するにはしたんですか」

証人=「中の物は鑑識の人がその場で見ております」

石田弁護人=「立会の人にも見せてもいいと思うんですがね」

                                             *

裁判長=「ちょっと待って下さい。その場で鑑識の者が中を開けて中の物を検出したんですか」

証人=「訂正します。鞄を写真に撮らして、鞄を持ち上げて、鞄の中はそのままにして、その下に牛乳瓶が一本、いくらか飲み残しの牛乳瓶と、それからハンカチ、白い布があったんです。これは全部見ております。これも、立会人が見ている所で写真を撮らしております」

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石田弁護人=「鞄の中の物も撮ったんですか」

証人=「鞄の中の物はその場では写真に撮らせません。暗くなっちゃったんです」

石田弁護人=「すると鞄はその場では開けなかったんですか」

証人=「開けなかったです」

石田弁護人=「その記憶ははっきりしてますか」

証人=「調書を見なければはっきりしませんが、その場では開けなかったように私は覚えているんですが」

石田弁護人=「実際のことの記憶を尋ねているんですから、調書に書いてあるかどうかは直接聞いていません。

あなたは、その発見当日以前に鞄の捜索をするように命ぜられたことはないんですか」

証人=「ございません。私は物については、あの事件では、初めてで最後でございます」

石田弁護人=「すると鞄について、その日以前にどのような捜索を捜査本部が実施し、あるいは考えていたかということは分からないですね、鞄については」

証人=「それは捜査会議で分かっております。鞄が見つからないということが初めから、これは鞄をどうしたかということは話題に出てるから、鞄を見つけろという捜査をずいぶんやってるんです」

石田弁護人=「結局その時点まで証人は分からなかったわけですね」

証人=「いや、そうでなく、鞄は初めから被害者が持っておった鞄がないということは知っておりますし、鞄を早く見つけなければならないということは毎日の捜査会議で機動隊を通じ、機動隊の幹部あるいは捜査員を通じて出てますから、知っております」

(続く)