アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 971

【公判調書3039丁〜】

              「第五十七回公判調書(供述)」(昭和四十七年)

証人=諏訪部正司(四十八歳・浦和警察署刑事第一課長)

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石田弁護人=「それではお伺いしますが、松永という弁護士さんがおられたことはご存じですね」

証人=「知っております」

石田弁護人=「それは浦和におられた方ですね」

証人=「衆議院議員をなさっておって、浦和にいるということは承知しております」

石田弁護人=「刑事事件の弁護ももちろんやられることがあるということもご存じでしたね」

証人=「はい」

石田弁護人=「その松永法律事務所には一人の弁護士さんだけではなくて、何人かの弁護士さんがおられたこともご存じですか」

証人=「その当時は、松永先生は、顔はよく存じておりますが狭山には見えたこともありませんし、弁護士さんの体系的なことを申し上げますと、浦和と狭山は川越が中心になっておりまして、遠くから弁護士さんがお越しになることは数少ないことでして、二年余りを狭山にいましたが、全然見ておりません。また、来た記憶はございません」

石田弁護人=「松永法律事務所に松永弁護士以外の弁護士がおられるということもあなたご存じだったんじゃないですか、昭和三十八年当時」

証人=「弁護士であるということは、松永さんの所属の人、あるいは事務所の人という弁護士さんには私、狭山に在職中恐らく会っておりません」

石田弁護人=「すると松永先生以外の弁護士さんも、松永法律事務所で活動しておったということは覚えているわけですね」

証人=「その点、松永法律事務所であるかないかの記憶はありません」

石田弁護人=「石田一義さん、あるいは東島明さんの弁護人が、それは誰であったかは別として、その人たちの弁護活動をするために狭山署なり、あるいは捜査本部に来られることは、これはごくあり得ることだと思うんですが、あなたはそうした経験はしていませんか」

証人=「もう一度・・・・・・」

石田弁護人=「つまり昭和三十八年の本件捜査当時、石田一義さん、あるいは東島明さんの弁護活動のために、その弁護士さんが捜査本部なり、あるいは石川君が留置されている狭山署に来ることは当然のことだと思われることなんだけど、その点、狭山署なり捜査本部なりに弁護士さんが来られたことはないんでしょうか」

証人=「私どもは記憶ありません。特捜本部が狭山市堀兼に設けられておるし、狭山署から約三キロぐらい離れた所に特捜本部がありまして、そこの往復があり、特捜本部の勤務が多かったので、そのような記憶はございません」

石田弁護人=「警察官、あるいは検察官という取調官が面会するのは別として、弁護士を含めてそれ以外の人たちが、留置されている被疑者と面会する場合、狭山署では普通、面会の日時、それから面会を求めた人、面会に要した時間、そういったものを記録されていたでしょうか、いなかったでしょうか」

証人=「これは、接見禁止の指定がなされておったし通常記録はしてあると思います。同時に接見の指定書を持って来なければ、会わせることは致しておりませんので、記録が、これは検察官のほうに転送してあると思います」

石田弁護人=「そういった記録を作っておったわけですね」

証人=「それは、私自身がこしらえたかということですか」

石田弁護人=「いや、警察として」

証人=「恐らくあるのではないかと思いますが、接見につきましては当時接見禁止になっておりますので、これは検察官あるいは裁判官の許可があり、その時間を記録して、それぞれ検察庁あるいは裁判所のほうへ転送してありますので、記録に残ってると思います」

石田弁護人=「警察署自体には、そういった関係の書類は全然残らないのでしょうか」

証人=「時間は正確ではないと思いますが、残っているかも知れません」

石田弁護人=「そういうのは本来残るべきものでしょう、警察に。留置人の関係ですから」

証人=「今のは、接見の有無ですか」

石田弁護人=「ええ、接見関係記録とでも言いましょうか。あるいは面会差入関係記録でもいいんですが、実質的に接見なり面会なりの関係事項を記録するということは、あるいは記録していたとするならば、その記録した書類自体は当然警察に残るものでしょう」

証人=「今の私の記憶では、一番正確なのは、接見指定書が一番正確と思います」

石田弁護人=「正確かどうかはまた聞くことにしますが、正確であるのか、ないのかは別として、そういった留置人の面会関係記録というのは、警察に残っておるのではありませんか」

証人=「残っては、あると思います」

石田弁護人=「残っておるわけでしょう」

証人=「しかしながら現在残っているかということになりますと、文書規定によって恐らく破棄してあると思います」

石田弁護人=「文書規定という、あなたの仰られるのは、どういうものでしょうか」

証人=「これは、内部で規定したものですが」

石田弁護人=「内部と言いますと、どの内部でですか」

証人=「警察内部です」

石田弁護人=「県警本部で規定したものでしょうか、狭山警察署で規定したものですか」

証人=「恐らく、これは県の規定でございます」

石田弁護人=「恐らくと仰いましたけれども、県の規定なのでしょうか」

証人=「その通りです」

石田弁護人=「監獄法に基づいて永久的に保存される書類とは違うんですか」

証人=「そうではありません」

(続く)

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