アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 718

【公判調書2268丁〜】

                    「第四十五回公判調書(供述)」

証人=大谷木豊次郎(五十八歳・浦和自動車教習所法令指導員。事件当時、埼玉県警察本部捜査一課・課長補佐)

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福地弁護人=「具体的に配置された、現実に配置された状況ですけれども、これはやはり二人一組ですか」

証人=「三人のところも。大体は二人一組ですね」

福地弁護人=「あなたは現場の総指揮者ということだったんですね」

証人=「そういうことでした」

福地弁護人=「あなたは現場の総指揮者になった理由というのはお分かりになりますか」

証人=「分かりませんですね」

福地弁護人=「特にあの現場の地理に詳しいというようなことはございますか」

証人=「地理には詳しくないです。ただ、その、県警本部の警部であるということが理由くらいではないかと思いますね、そういったところに大きなミスがあったんですね」

福地弁護人=「昼間、佐野屋というお店のまわりを五月二日の昼間に見に行かれたことはありますか」

証人=「行きません。もうかえって姿を見せることが危険であるということで、それは地元の署長に、信頼をしておりましたから」

福地弁護人=「そうするともう一度念を押しておくんですが、実際に現場に行かれたのは何時頃ですか。狭山署を出発したのは」

証人=「配置についた時間のことははっきりしないんですが、とにかく犯人が現場に来るという手紙が十二時という風に、記憶だったんですから、それから逆算すると大体二時間前くらいに張込みにつこうというような計画だったと記憶しておりますから十時頃には出発したと思います」

福地弁護人=「車で皆さん行かれたんですか」

証人=「それは近くまで車で行きまして途中で車を捨てて歩いて現場に着いたんです。そういうような関係で第二次の計画書には、知らないところであって、大体こっから幾つ目の交叉点だ、どれくらい進んだところの電柱のあるところだ、とかいうような漠然とした目標で、真っ暗闇だった関係で、まだその当時は暗かったですから配置についた当時は分からなかったようなことで、その計画通りに配置出来なかったというのが実情じゃないでしょうか」

福地弁護人=「計画通りの配置さえも出来てないわけですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたは誰と組んだんですか」

証人=「私は署の刑事で名前は忘れましたが、今一人は、私のところは三人おりましたが、ちょっと・・・・」

福地弁護人=「あなたの張込んだ場所はどこですか」

証人=「佐野屋とかいう店の西側の方になるんですか、生垣がございますけれども、そこのところです」

福地弁護人=「佐野屋の前に広い通りがございますね、あの通りから佐野屋に向かって」

証人=「向かって左の一番角のほうです」

福地弁護人=「一緒に張込んだ刑事の名前は飯野という人だった記憶はないですか」

証人=「飯野・・・・・・、そんな風なのが居たった(原文ママ)かも知れませんね」

福地弁護人=「そのほかどういうところに張込んだ警察官がおったか、出来る限り思い出して欲しいんですが」

証人=「佐野屋の前のところにですね、山下警部の組がおったですね。それから私の方の、佐野屋、その家の東というか、通りから面して右側、私の方の反対側の後ろの方に当時今井部長だったかと」

福地弁護人=「名前はともかくとして場所を」

証人=「近くはそれくらいで実際はその、あそこに茶の木が通りの南側ですか、茶の木畑があるんですけれども、そこのところに、家か何かに入るところの十メートルばかりの狭い道がある、そこのところへも張込みするわけだったんですけれども、そこに張込むその組みが二、三百メートル離れたところに張込んでしまった。あとは外周で自動車の通れるような道路というようなところに張込んでおったような記憶です」

福地弁護人=「あなたは町田忠治という人の家がこの近くにあることを覚えておりますか」

証人=「何かそういう人がおりましたですね。家はよく記憶しておらないんですが、何か被害者の家と縁続きとか何とかになっているとかいう人がおったのを思い出したんですが」

福地弁護人=「あなたが思い出す配置場所というのはそんなものですか」

証人=「そんなものですね」

福地弁護人=「二人ないし三人一組だということになると相当な数ですね」

証人=「その場所はですね。あとは遠いところに、かなり離れたところになっておるわけです。こういうところの場所はちょっと思い出せませんですね」

福地弁護人=「あなたは地図に配置場所をマークしたその地図を見たことございますか」

証人=「それは見たことあります」

福地弁護人=「(昭和四十年六月三十日、第三回検証調書添付第三見取図三一九丁を証人に示す)その図面をちょっとご覧下さい、この図面のあなたが張込んでおられたのは佐野屋と書いてあるところのこの図面でいうと右上のところになるわけですね」

証人=「そうですね、桑畑と書いてあるところ、佐野屋の家の道路から向かって左角ですね、家と道路の間ですね」

福地弁護人=「先ほど山下という刑事が張込んでいたところがあると仰いましたね、それはどこら辺なんですか」

証人=「佐野屋の真ん前、佐野屋の前に道路をはさんで前に家があったんですが、その家の道路のほうから向かって右側の角です」

福地弁護人=「道路から相当引っ込んだところですか」

証人=「いや、佐野屋と同じくらい道路ぎわに家があったと思うんですが」

福地弁護人=「道路から、山下という刑事が張込んだのはどれくらいの場所ですか」

証人=「十メートルも離れておりませんね」

福地弁護人=「じゃ何メートルくらい離れてましたか」

証人=「七、八メートルくらい引っ込んだところに家があってそこに張込んでおったんです。配置地点からいうと大体その辺になるんです」

福地弁護人=「そのほかには」

証人=「小天喜一郎方まえの四叉路がございますね、その付近です」

福地弁護人=「これは誰かわかりませんか、名前は」

証人=「これは・・・・・・」

福地弁護人=「そのほかには」

証人=「そのほかにはちょっと・・・・・・。町田忠治居宅と書いてある四叉路付近にもおったように思います」

福地弁護人=「それは誰か記憶ありませんか」

証人=「これは記憶ありません。さっきの子天方のところは今井ですね。そのように記憶しております」

福地弁護人=「それからその町田忠治方の四叉路のどの辺におったかわかりませんか」

証人=「わかりません」

(続く)