アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 482

【公判調書1590丁〜】

                           「狭山事件の特質」

                                                                           中田直人

第四、証拠評価の態度

6.『首に絞められていた木綿細引紐を巡る問題の検討を通じて、これまでにいくつかの教訓を導いた。これは本件において証拠の評価はいかなる態度をもってなすべきか、物的証拠、客観的事実によって一つ一つ事実を確かめることこそ何よりもなすべきであり、人の言葉をあれこれと探し、経験則に名を借りて、一人よがりの基準で自白を解釈し、更には、補足するようなことがあってはならない。それは真実に目をつむることであり、不正を助長することである。特に本件において証拠の吟味が、捜査に対する厳しい批判を抜きにしては決して正しいものではあり得ないことを考えねばならない』

第五、むすび

最後に我々の裁判所に望むところを明らかにしておく。

(1) 一切の予断と偏見を排して、ただ証拠だけを、なかんずく客観的証拠を直視されたい。それによって自白に充分の吟味を加えられたい。

(2)被告人がやったのだと疑ってかかるのではなく、その訴えるところに、ともかく謙虚に耳をかたむけられたい。本件の真相は必ずそこから理解されるはずである。

(3)本日の弁論、又これからの各弁護人の弁論は、現在の段階で何人にも明瞭に認識できる事実によって多くの疑問点を指摘する。それら一つ一つを証拠によって解明するために、本日提出した事実取調請求書による証拠調が必須である。我々の意見は、その証拠調の必要性の理由の陳述であり、我々の要求の事実に根ざす根拠の表明でもある。(以上、〜1591丁)

*次回より弁護人=植木敬夫の弁論を引用する。