アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 400

【公判調書1409丁〜】証人=青木一夫(五十三才)・警察官(証人として出頭時は草加警察署長)

裁判長=「どういう方法で謄本を取りましたか」

証人=「いくつも有りますから一人だけで無く、何人かで取って取っていると思います」

裁判長=「いくつも有るとはどういうことですか」

証人=「被疑者調書も毎日毎日取っており、それを同一人が謄本を取ったのでは無くて、その日によって何人かの人が取っていると思います。その人のやり方によって謄本の取り方、図面の写し方が違うと思います」

裁判長=「どういう方法で取るのですか」

証人=「それを見ながら別の紙に写す場合もあるし、石川君の書いた図面を基にして、その上に薄い半紙、改良半紙ですか、ああいうものを置きその上を鉛筆でなぜて引き写す場合もあります。方向、その他の説明書きの上をそっくりなぜるという方法でやっている場合もあり、それを見ながら書き写しているのもあると思います」

裁判長=「上に薄い紙を置いて引き写しをする場合、書く物は何ですか」

証人=「鉛筆が多いと思います。ですから取ってある供述調書の謄本には鉛筆の跡が残っているのがあります。申し落としましたが、そうやって写したものを土台にして、今度は一遍に二枚ないし三枚取れるように下に厚い紙、藁半紙等を二枚ぐらい置いて、その間に炭酸紙を挟んで、同時に三通ぐらいの謄本を取るというやり方でした」

裁判長=「最初、石川の書いた図面上に薄い半紙、あるいは改良半紙を載せて鉛筆で引き写しをするというのですね」

証人=「はい」

裁判長=「謄本というのは何ですか」

証人=「それも謄本になるのですが、それだけでは一枚しか取れないので、鉛筆で引き写ししたもの土台にして、その下に藁半紙、複写紙を重ねて置いて同時に三通ぐらい作るわけです」

裁判長=「それは、その調室で同時にやるのですか、別の機会にやるのですか」

証人=「別の部屋で別の者がやります」

裁判長=「この石川の事件の場合、何の必要があって謄本を何通も取ったのですか」

証人=「調べ等が終わり、夜、幹部が集まって捜査会議を開きますが、その折の検討の資料にするということが一つ、それから、後日あの時はどうだったろうかという検討が行われますし、また、問題になる場合がありますが、その折に謄本を取っておいて参考にする、という事で作りました」(続く)

*青木一夫への尋問はまだまだ続く。狭山事件においては、取調調書に添付された図面などが警察官(取調官)主導のもとに作られたと見られ、冤罪の土台、基礎の一部となっていると考えられる。従って現在調書より引用中の裁判官による執拗な尋問は正しい行為であろう。ところで本日はイタリアの安ワイン、タヴェルネッロ・オルガニコ・サンジョベーゼで一杯なのだ。公判調書の頁をめくりつつ、また一杯。周辺を散策する人々が警戒の眼差しで老生を見つめていた。