アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 149

戸谷富之鑑定人 : 「明治初年頃は間々古書家が鑑定していましたが、その後だんだん古書家が鑑定することがなくなり、古文書学をやっておられる歴史の先生であったり、或は法医学が日本の大学にできるようになって、何でも裁判のことは法医学者に依頼するという習慣ができ、大正時代などは犯罪学雑誌に法医学者が筆跡鑑定をされたその論文が出ているものもあります。割合、組織的に筆跡鑑定を取り上げたのは警視庁で、大正十年頃、警視庁刑事課内に置かれた鑑識係が機構改革により刑事部鑑識課に昇格し、その鑑識課で割合積極的に筆跡鑑定を行なっていたそうであります。現在の科学捜査研究所の前身であった鑑識課に勤めていた金沢重武が大正の終わり頃ドイツに行って来られてドイツの筆跡鑑定を輸入されたわけであります。この金沢重武は高村巌鑑定人の先生に当るわけですが、金沢重武がドイツからもって来られたものは、どうも金沢重武だけで終わっているように思われます。その後は困難の時期で現在の筆跡鑑定人をみますと、古文書学をやっている、主に東大の資料編纂所の方とか国立美術館の技官の方とか、あるいは警察の鑑識の方、書道家、写真学校を出た方等で、例えば科学警察研究所の文書課でも筆跡鑑定を取扱っているわけですが、文書課の二十人近い職員の中、その殆どの人が写真学校を出ており、大学の物理、化学、文学部物理学科を出た方が一人在位であったと思います。筆跡鑑定について写真的な技術は当然重要でありますが、より主要なのは分布をするようなものの比較はどうあるべきかということが日本では本格的に研究されていない、それが現在の日本における裁判の筆跡鑑定の一つの系譜になるのではないかと思います」・・・。実に興味深い内容に私は満足した。今回、訂正した箇所が一つあり、それは調書より引用した上記の文章、その下から三段目にある"本格的"という文字、これが原典である調書では"本確的"と表記されている。                                     
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文脈から察するに"本格的"という表記が適していると思うが・・・。念の為、ネットで"本確的"を検索したところ"本人確認"や、それに類する情報の羅列であった。もしかすると法律用語において使用される専門用語かもしれない。そして、たった今気になった事が。速記官が速記録を反訳し調書にする過程で、句読点を打つ場所は受け持った担当に任されるのか、という点だ。狭山事件公判調書においても、その公判記録によっては読みやすく句読点が打ってあったり、また逆に、句読点の打ちどころが的確ではない場所であったりと、速記官によって反訳時の表記に違いが見受けられるのである。こういった発見も、しかし公判調書に接する事が出来たおかげであるが。