アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 134

戸谷 富之鑑定人による公判廷での口頭報告。( その1 )「筆跡鑑定で、特に形態比較あるいは字画構成比較による要素は何であるかということ」について。「筆跡鑑定の場合の主に字の形態、あるいは字画構成といいますが、字画構成の比較からある文書、その文書を被検文書、本件においての脅迫状になるわけです。照合文書というのはある人が確実に書いたと思われるその文書で、その人が書いたかどうかを比較するものです。被検、照合両文書をもとにして被検文書が照合文書を書いた当人が書いたものであるか、そうでないか、それを鑑定するのがいわゆる裁判における筆跡鑑定になっているわけです。ある文書が与えられ、それからあるきまった人が書いた文書が与えられ、その両方の文書の中から色々の字を選び出して比較し、その結果その被検文書は照合文書を書いた人のものであるかどうかということを決めるためには、どういうことが必要であるかということです。それは当然同じ人が書いたものであれば、幾ら自分がしょっちゅう書くような筆跡によらないで、できるだけごまかして書こうと思っても、それがどの程度ごまかせるかどうか、そういうことが非常に問題になるわけですから、そういう似ているところとか似ていないところを結果的には色々比べてみて、当人のものであるか、あるいは当人のものではないというわけですが、ただ似ているとか似ているから同一人によって被検文書と照合文書が書かれたものであるとは直ぐには結論できないわけです。また、違った文字を色々捜し出して両方非常に違っているから、これは被検文書を書いた当人と照合文書を書いた当人とは別人であるという結論もできないわけで、その結論ができるための要素は何かというと稀少性、常同性ということであります」・・・戸谷氏の報告はまだまだ続くが、私にとってこの報告の内容は非常に興味深い。狭山事件公判調書に出会う前、随分昔であるが「脅迫状の研究」、確かそんなタイトルだったと思うがブックオフで八百円で見つけるも買わずじまいだった。数日経つうちに猛烈に購買欲が膨れ上がり店に向かうも、既に誰かに買われていた。ネットでも見つからず、やがて狭山事件を知った時「あの本を買っておけば良かった」と激しく地団駄を踏んだ。それ程私には興味ある分野なのである。脅迫状を構築する一部である筆跡、その鑑定について戸谷氏の報告は分かりやすく説明されており、私は身を乗り出し読み耽っているところだ。                                        

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