アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 131

私は今、狭山事件第二審公判調書に目を通しているが石川一雄被告人の筆跡鑑定について、一度立ち止まり考えてみたい。現場足跡と脅迫状の筆跡、この二つが石川被告人が犯人であるかどうかその直接証拠の根拠になっている。脅迫状に話を絞ろう。第一審から脅迫状が石川被告人によって作成されたのか否かは裁判の上で焦点であったが、第二審においては脅迫状が石川被告人によって作成されたと断定され、第二審判決はこれを中心に成り立っていると見られる。筆跡問題については一審、二審を通して七つの鑑定が出された。鑑定の方法で分けると前者四名、すなわち関根・吉田、長野、高村による三つの鑑定。後者四名は戸谷、大野、麿野、綾村による四つの鑑定とに分けられる。前者四名は脅迫状の文字と石川一雄被告人の文字を比較し、 一字一字の類似を論ずる伝統的方法をとり、脅迫状の字は石川被告人の筆跡と結論を下す。対し後者四名の一、戸谷(二審)鑑定は、前者三鑑定の拠り所である伝統的鑑定方法を非科学的と批判する。後者四名の二、大野 晋は、石川被告には脅迫状を書く能力が無いと結論。後者四名の三、麿野鑑定は、小学校五年修了以下の学力能力を有する者( つまり石川被告人を指す)に当該脅迫状を記述することは出来ないと結論。後者四名の四、綾村鑑定においては書道家の立場から筆速・筆勢を含む字形比較、横書きの問題等の検討を行い、脅迫状の字は石川被告の筆跡とは異質と結論を下す。前者四名による三つの鑑定は警察業務として行われてきた伝統的鑑定方法により結論が導き出されており、当然であるが四名は警察関係者なのである。伝統的鑑定法を批判する戸谷氏は「現在の日本の筆跡鑑定のレベルは一八世紀のヨーロッパの段階にも及ばない」と結論づける。「狭山裁判と科学 武谷三男編  社会思想社」p.134には「そもそも筆跡鑑定が有効なのは遺産相続や会社内の揉め事とか、[犯人]の範囲が少数者に限定されているときに限られる」との記述がある。すると狭山事件における筆跡鑑定を行う意味とは・・・などと別の迷宮に迷い込みそうになったが踏み止まり、調書を閉じた。                                  

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( 写真は狭山市内を流れる不老川である。夏場はほぼ干上がってしまう。たった今気が付いたが、橋の上から撮影する私の影が写り込んでしまった。この影から情報を分析され、私の身辺に危機が迫らないか非常に不安である。分析により私を特定し迫り来る勢力、それが狭山の黒い闇である)