アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 132

1006丁。第二四回公判調書(供述)。裁判長は戸谷 富之(北海道大学教授・触媒研究所長)に対し、口頭と鑑定書による報告を命じる。その内容は二つ。第一、最近一般的に行われている日本文字の筆跡が同一なりや否やの鑑定方法、およびその結果の相当性について。第二、被告人の筆跡に関する、(イ)埼玉県警察本部刑事部鑑識課警察技師 関根 政一、同吉田一雄連名の昭和三十八年六月一日付鑑定書(記録第三冊九〇四丁)           (ロ)警察庁科学警察研究所警察庁技官 長野 勝弘の昭和三十八年六月十日付の鑑定書(記録第四冊九六〇丁) (ハ)文書鑑定科学研究所長 高村 巌の昭和四十一年八月十九日付鑑定書(記録第一四冊)の各鑑定の方法、およびその結果の相当性について。第一については公判廷において口頭で、第二については鑑定書による報告を求めた。戸谷氏による第一についての報告内容の要点は次の5点である。1、筆跡鑑定で、特に形態比較あるいは字画構成比較による要素は何であるかということ。2、日本において行われている従来の筆跡鑑定方法はどういうものであるかということ。3、従来の筆跡鑑定方法は色々の点で不十分であると思うが、それがどういう形のものでなければならないかということで、筆跡鑑定における統計的方法の必然性。4、日本における裁判での筆跡鑑定の系譜。5、欧米における筆跡鑑定の歴史と現状、以上である。ここで一旦、戸谷 富之氏について触れておこう。昭和三十七年北海道大学教授に。専門は理論物理の中の物性理論(物の性質の理論)。同大学の学部と研究所から成立した触媒研究所長も兼ねる。昭和三十四、五年頃起きた北海道大学講師の裁判において事件の筆跡鑑定を引き受ける。鹿地亘事件において筆跡鑑定を命ぜられ鑑定書を作成中( 注:昭和四十一年時点での話である)。続く                       

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