狭山の黒い闇に触れる 59
前回に続き、検察官が証人:青木一夫警察官に問う。被害者の遺体を芋穴に吊るしたと石川被告は供述しているが、その取り調べを行なった時の状況を取調官本人に問う。やや長くなるが413丁から引用しよう。検察官「死体を芋穴につるしたというときに、縄をどのようにしておいたと述べておりますか」証人「その末端を桑の木にゆわきつけておいたというふうに記憶いたします」検察官「それに使った縄をどこから持ってきたということも述べてましたか」証人「はい」検察官「これは、被告人の口から、本当に自発的に出たものでしょうか。桑の木とか、縄をとってきた場所とか」証人「はい」・・・そして次の記述に刮目せよ。検察官「あなたのお調べのときに、長谷部警視が、そばから、縄のはしを、桑の木があったから、しばったんじゃないかとか、縄は奥富源治さんのところから、持って来たんじゃないかとか、そういうことを補足的に尋ねたり、或いは、そういうことをそばで言ったことはありませんか」証人「ありません。私の記憶ではそういうことはございません」検察官「間違いないですか」証人「はい」・・・。私はつい、微笑んでしまった。この検察官から長谷部警視を信用できない様がありありと表出されているからだ。長谷部警視は過去に何か問題でも起こしていたのだろうか。石川被告の取り調べには三人か四人の警察官があたっているが、検察官はその中の一人、長谷部警視の名を挙げ証人に問う。なぜ長谷部警視だけが・・・。