アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 92

石田弁護人による小島朝政証人への尋問が終わり、石川被告人も「別にないです」と述べ、平岡検察官の尋問が始まる。しかしこれは予定調和の問答に終始、ここに引用する価値もないと思われたが、ただ見過ごせないのは、相変わらずの小島証人の、問いに対する答えである。平岡検察官の問いに見当違いの答えを述べ続け、見かねた裁判長が間に割って入る場面が見られる。私にとってはこの問題も考察が必要と考えているので、調書より引用しよう。634丁から。平岡検察官は石川被告宅から押収した少女雑誌について、「これは、取調班からの連絡はどういう連絡が具体的にあったのか、記憶ありませんか。どういうことを言っているので、どういうものを捜してこいという」と問う。簡潔明瞭な問いである。少女雑誌について取調班からどういった連絡がなされたか、である。さて小島証人の答えだが、「これは、前の一課長である飯塚警視が取調班のほうに行っておりましたはずです。多分この捜索の前の晩だったか翌朝だったかはっきり記憶しておりませんが、その頃被疑者が犯行を自供して万年筆がここにあると、それからこういう服装で、ゴム長靴をはいて白っぽいジャンパーを着てそれでこういうように行ったんだと、それだから、その捜索差押許可状を請求して、それでやれと、深いことについては、当時次席である将田警視に連絡してあるから、そっちの指揮を受けてやるようにと、こういうことでありますまあ直接電話では聞きましたが、万年筆のメモを書いたのは・・・」途中、ここで裁判長が発言、「今検事が聞いているのは、雑誌のことですよ “ リボンちゃん ” という点は、今の捜索差押調書に何だか特定したような、或いはこれに類すると書いてあるのだが、どういう連絡をどこから受けたかということです」小島証人:「それは、飯塚警視から受けました」裁判長:「だから、どういう内容の指図を受けたかというんです。リボンちゃん、これに類するとか曖昧なことが書いてあるから、それを聞いているわけです」小島証人:「“リボンちゃん”という本だということで、私も早吞込みして“リボンちゃん”という本だと解釈しました。細かいことは将田警視のほうへ連絡するからということで、私は“リボンちゃん”そのものの本があると直解いたしました。ところが、飯塚警視のほうから連絡があったのち、類似ということがあとで将田警視のほうから示されて、将田警視のほうから今申し上げましたように“リボンちゃん”の本だか、それとも内容が“リボンちゃん”という字句のある少女雑誌なのか、判らないということだから、そういうふうにしようという指揮があって、やったということです」・・・ふぅ、疲れるな。小島証人の証言は聞けば聞くほど迷宮の魔窟、または蟻地獄とでも言おうか、それに引きずりこまれ、よほど頭が鍛えられている弁護人や検察官でない限り、小島という名の底無し沼に沈められる。幸いにも、彼による証言の最後に「そういうふうにしようという指揮があった」とあり、長々と語った証言は文法上、全てここに係る、と解釈すると今回の小島証言全文が繋がり出すと、私は私なりに答えを見つけた。この件は次回に続く。                                                                

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(当時の石川被告宅。無実の獄25年 狭山事件写真集:部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部編 : 解放出版社より引用)