アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 25

「狭山裁判と科学」第四章 【筆跡】「脅迫状の字は被告人の筆跡である」と結論を下した四人の鑑定人。関根・吉田両鑑定人( 埼玉県警刑事部鑑識課 )長野鑑定人( 科学警察研究所技官 ) 高村鑑定人( 科学警察研究所 )らの出した結果を下敷に第二審寺尾判決も「本件脅迫状及び封筒の文字は被告人の筆跡であることには疑いがないと判断される」と結論づけた。ところで教育程度が低かった被告がどうして脅迫状を書けたのか。「刑」「札」「江」などの教育漢字以外の字まで使用された脅迫状である。寺尾判決によると、被告の妹が持っていた雑誌から字を拾い出し脅迫状を作ったとあり、この雑誌は妹が友人から借り、読んでおり、二宮金次郎の写真が載った、昭和三十六年十一月号の誌名「りぼん」と、特定までされている。ところが、この判決後に重大な事実が判明する。特定された「りぼん」は事件の七ヶ月前に持ち主の友人に返還されていたのである。しかも妹が借りたあらゆる「りぼん」が、である。これは最高検察庁から弁護団に公開された未公表捜査資料に、妹の友人として二名が供述、警察の調書に証言が記載されていたことから判明した。友人二名の供述は昭和三十八年七月一日の日付であり尚且つ警察の調書である点を考えると、当然、当局は事件から二ヶ月後にはこの事実を把握していたはずであるのだ。と、この章は展開していくが、となると寺尾判決においてその決め手となったこの筆跡問題は、既に根底から、基礎、土台から、そもそも存在すらしなかったのではないかと、本章を読み終え私は思ったのである。このような疑義を内包し進行した裁判を何故放置するか、再審請求棄却を繰り返す最高裁判所に答えて欲しい。                                                                

f:id:alcoholicman:20211011193120j:plain