アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

闇稼業に備える 14

狭山中央図書館で狭山事件公判調書を読み耽る・・・(第二審 第六分冊 第六十一〜六十八回公判3342より)「脅迫状を読み終えるかどうかの時、弟のKが表に出てみた。と、猫が東のすみのところにいた」・・・。上記の、証人(長兄)による証言の趣旨は、やや脚色して書き表すと、父親、長兄らが脅迫状に目を通し終え顔を見合わせたその時、傍に居た弟が、万が一脅迫状の投函者が付近に居るかも知れぬと表に出た、その時の模様だ。弟の目に留まったのは人影ではなく猫の姿であった。そして証人はこの「猫が東のすみにいた」という弟の話が印象に残ったと弁護人に語る。前後の文脈から見てもこの猫の登場は唐突である。さて、ここを読んだ時、ある作家の発言が思い出された・・。「例えばイタリアン=リアリズムが発明してくれたイメージ。事件とは無関係にふと道を横切る犬とか、風に吹かれて飛んでいく古新聞とか(阿部公房)」(マスコミかジャーナリズムか:本多勝一著)・・・これだ。事件と無関係な、偶然そこにいた猫の存在を並列させ述べる証人のイタリアン=リアリズム。しかし、冒頭の証言は小説でも映画でもなく現実である。そして当夜の状況は深刻であり、帰宅せぬ妹、そのなか届いた脅迫状とその内容を知れば、やはり意識はそこに集中し、犬や猫がどこに居ようが眼中に入ることはないのではないか、と私は考えるが・・・。今回の短文で即座に事件の状況を理解できた方は相当な変わり者、いや、狭山事件再審請求適任者と呼んで良いだろう。

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