ここに写っている古本は「せどり」目的で入手したわけではない。古本転売という闇稼業に向かいつつも、それ以前から興味を持ち集め始めていた、私にとっては重要特殊資料と呼んでも差し支えない古本群である。ちなみに全て狭山事件に関連した書籍である。
私はこの事件に関して当初、面白半分に推理をしたり犯人探しを試みていたが、再審請求の記事を目にし、部落問題を知り、冤罪の恐れがあると判ると「狭山事件公判調書」が原点であり終着点ではないかと思い始めるに至った。(写真下は狭山事件公判調書)
石川一雄さんによる再審請求が認められない現在、この「狭山事件公判調書」が生きているわけで、狭山事件に関心を持った者が読むべきは、この記録しかないのではないか。第三者の主観が入り混じった書物は、情報としての確度が相当に下がると私は判断した。これに気付くのに10年以上かかったが。今、私はノートと鉛筆を持って狭山中央図書館に通い、所蔵されている「狭山事件公判調書(貸し出し禁止)」と向き合っている。記録を自分自身で読むと、雑音が入らない分、この裁判が「おやっ?」と思わせる部分が割とある事に気づくのであった。