アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 648

(遺体発見現場付近の写真。狭山事件裁判資料より転載)

【公判調書2023丁〜】

                  「第四十一回公判調書(供述)」⑦

証人=竹内武雄(五十六歳・埼玉県交通教育協会評議員。事件当時、狭山警察署長)

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宇津弁護人=「当時、その地域を担当していた巡査というんですかね、それはどなたなんですか」

証人=「その小谷田というのはちょっと記憶が出ないんですがね、どの辺か言えば分かりますがね、ちょっと記憶ないんですがね」

宇津弁護人=「これは当時の狭山警察署から、そう遠くない所のはずですが」

証人=「町内(マチウチ)ではないんですね」

宇津弁護人=「まあ、住宅かなりあるところですね」

証人=「ちょっと記憶ありません。多分、駐在所が管轄していると思います。地図見ればすぐ分かりますがね」

宇津弁護人=「その辺の駐在巡査の名前は記憶ありませんか」

証人=「それが今、ちょっと記憶ないですね、全部は。何々駐在所というのであれば出てきますが」

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福地弁護人=「この鉄砲の許可なんですがね、これは許可の条件というのはあるんでしょうか」

証人=「条件はありますね」

福地弁護人=「どういう条件ですか」

証人=「詳しくは私も辞めてますからね、忘れました。精神的、その他の条件があったと思いますが。年令とか、前科関係と言いますかね、精神的な、そういうような病気の関係とか条件があったと思います」

福地弁護人=「そうすると、それは調べるわけですね」

証人=「ええ、調べます」

福地弁護人=「担当の人が」

証人=「そうですね」

福地弁護人=「それから許可が実際におりた場合にはそれは台帳か何かに書くわけですか」

証人=「ええ、書きますね」

福地弁護人=「台帳が狭山警察署に置いてあるわけですね」

証人=「ええ、簿冊があるわけです」

福地弁護人=「更新期間というのは大体何年くらいですか」

証人=「ちょっと私も記憶ないですね。毎年更新しておりますが、年数はちょっと私記憶ありません。二年か三年か、ちょっと記憶ありませんが、更新はしてます」

福地弁護人=「それから、あなたの先ほどの証言では死体が発見されるまでの初動捜査の段階では両面を追っておったということ仰いましたがね」

証人=「はい」

福地弁護人=「一つは中田江さくと書いてある中田江さく関係を言っているわけですね」

証人=「そうです」

福地弁護人=「もう一つは何を追っていたんですか」

証人=「もう一つは少時というのがどうかということですね」

福地弁護人=「どうかというのはどういう意味ですか」

証人=「少時という人に対する脅迫文ですね。消しておるからね、何か少時に関係あるんじゃないかということです」

福地弁護人=「そうすると、死体が見つかった段階で、少時とは関係ないということですか」

証人=「はっきり関係ないとは言いませんが、捜査過程ですから、はっきりと切るわけにはいきませんが、主力は死体のほうへ、発見してからですね」

福地弁護人=「どうもおかしいと思うんですが、中田栄作のところに届けられたということでは死体が発見される前に分かっておったんじゃないですか」

証人=「いやいや被害者の発見ですか、被害者がですね、誘拐か何か分かりませんから、被害者の救出ということで、どこにおるか、動員をして、主として被害者の発見、合わせて、もし、殺されておれば死体の発見、まあ、両面で、これは一日ですか、一日半くらいですね」

福地弁護人=「それから、先ほど宇津弁護人の質問に対して、長島少時という人がいくつぐらいかと聞きましたね、それで三十くらいだということになって、そういう年令の人は全然問題にしないと言いますかね、もっと小さい人のほうを捜したということ言ってましたね」

証人=「ええ、そのときはですね」

福地弁護人=「そのときは、少時というのは、小さい子供だと思ったんですか」

証人=「小さいというか、少年というか、まあ、小さいということですね。まあ、高校、中学以下、小さい」

福地弁護人=「たとえば、二つ三つの子供もありますね。そうすると、二つ三つの子供が少時様だと思ったんですか」

証人=「そうじゃないです。その関係する中に小さい子供も、小、中学生の子供もおるんじゃないかと」

福地弁護人=「そういうことでなくて、私の聞いているのは長島少時という人物が幾つぐらいであるかと、あなたが聞いたでしょう」

証人=「ええ」

福地弁護人=「で、三十以上だということを聞いて、そういう人間だったら捜していないということを仰ってましたね」

証人=「そう言ってますか」

福地弁護人=「もっと小さい人のことを」

証人=「私は訂正しますがね、そうでなくて、その関係する中に、まあ、小さいといっても中学、高校程度の人がおるであろうと、その脅迫状の行った先が」

福地弁護人=「ちょっと待って下さい、脅迫状の封筒に書いてあるのは、さっき宇津弁護人が言っているように、むしろ、誘拐された子供の親の名前が書いてあるという風に私どもは考えるんだけれども、あなたもそう考えたんでしょう」

証人=「そうです」

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次回、山上弁護人の尋問へと続く。