アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 532

【公判調書1691丁〜】

「自白の生成とその虚偽架空」            弁護人=石田  享

一、はじめに

被告人は当審第一回公判において「善枝さん殺し」、いわゆる狭山事件(以下同様)での自己の無実を訴えた。当審第二回公判から今日まで、少しの飾り気もない被告人の無実の叫びは次第に多くの国民の心を把え、聞く人をしてこの裁判に深い関心と注目の眼差しを向けるに至った。

かつて松川事件、一・二審の有罪判決は今は亡き作家宇野浩二氏により「世にも不思議な物語」と題された。その松川有罪裁判がいかに甚だしく誤ったものであり、いかに悪辣にフレームアップされたかは、今日、すでにあまねく知られるところとなっている。本件もまた正に「世にも不思議な物語」であり、その物語りの中心は「世にも不思議な自白」の中にある。

被告人の自白は取調官に強要されて出来上がった。一件記録により明らかな通り被告人は窃盗、横領等の被疑事実によって五月二十三日未明逮捕され、引続き勾留され、六月十三日の別件却訴(注:1)を経て同月十七日の保釈決定執行まで狭山署において狭山事件の取調べを受け続けた。その保釈の執行は同時に再逮捕手続となった。狭山署において狭山事件容疑により再逮捕され直ちに川越署から分室に移監された。「世にも不思議な」狭山事件自白は、この、固く閉ざされた川越署分室の密室の中で秘かに作られたものである。(続く)

*(注:1)の「別件却訴」であるが・・・

原文どおり引用したが、今までに見たことのない裁判用語である。「別件」はよいとして「却訴」とは何ぞや。今後の課題として保留しよう。さて、これとは別に、公判調書上に散見される、もしかして誤字(誤植)かな、と思われる文字をここに記録しておこう。

文脈からみて、ここは「狭山事件」と印字されるのが正しいと思われる。しかし、あるいは何か深い意味を込め、この文字を使用した可能性も考えられるが。

これは明らかに「問題視」が正しいであろう。

「真畑人」・・・心から畑仕事を愛し、生涯を畑と共に過ごし、その骨もまた畑の土へ還って行く、ではなく、文脈からみて「真犯人」という文字が使用されるべきである。

「刑」という文字が抜けている。このまま読むと「埼玉県・警事部長」であるか「埼玉県警・事部長」なのか、区切り方に悩む。なので正確には「刑」という字を足し「中勲埼玉県警刑事部長」、または、さらに「察」の字を足し「中勲埼玉県警察刑事部長」との表記が正しいと考える。

・・・以上が「もしかして誤字(誤植)かな?」である。これらの事象は、公判日、それを担当した裁判所書記官(厳密に言えば法廷で速記録を取り閉廷後に速記記号をもとに反訳した方)により誤字脱字の発生率が異なることに老生は気付いた。いや、気付きたくなかったが。