アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 394

【公判調書1398丁〜】(前回は、三柱神社=荒神様の関係者による社殿の成り立ちや事件当日の祭りの状況説明であった。今回引用する内容は、その三柱神社を警察による捜査の面から見た報告である)

昭和三十八年六月二十八日

狭山警察署助勤  川越警察署

司法警察員巡査部長・上野俊章   印

埼玉県警本部捜査第一課

司法警察員巡査部長・梅沢   茂    印

狭山警察署長 ・ 司法警察員警視 ・ 武内武雄  殿

○被疑者の自供に基づく捜査について

強盗強姦殺人死体遺棄並びに恐喝未遂被疑者・石川一雄の自供に基づき、犯行当日である五月一日の三柱神社通称荒神様の祭礼の人出の状況について、祭主である狭山市入間川二一八*番地・農業・大野進治(四十六)他同神社の世話人等五名からその状況を聞いたところ次の通りである。(同人等の供述調書参照)

                                        記

一、三柱神社の所在地は狭山市入間川一七一二番地であって、西武塩道新宿線(注:1)入間川駅構内の踏切(構内の北側)を渡り通称加佐志街道と称する幅員三メートルの道路を二百メートル東進した地点の道路の南(右)側にある。(添付の略図参照)

三柱神社の敷地は約一反歩で、この敷地の東方に大正五年健立の約三坪建平屋の社殿が西向きにに建ててある。この社殿は奥殿を除くと約二坪の拝殿で、拝殿は板張りになっている。拝殿の前方五メートルのところに、直径二十五センチメートルのコンクリートの柱の、高さ三メートルの白塗りの鳥居がある。社殿の北側脇に、一坪半建ての屋根がこわれた東屋がある。社殿の北、東、南には楢、欅、松、桜等の比較的太い木が立ち、鳥居と共に神社の風情を保っている。社殿の周囲を除く敷地内は、一面に二十センチメートルくらいの熊笹や雑草が生えている。(続く)

*(注:1)の西武塩道新宿線であるが、この “塩道”という文字は何を指すか、老生には今のところ解明出来ないでいる。念のため原文を載せておく。

*ところで文中に、社殿の周囲に生える木々の種類を挙げ、それらの比較的太い木が、鳥居と共に神社の風情を保っている、という記述があり、これに老生は文学的なセンスを感じた。通常、捜査報告書などの記載内容は、その性質から言って、あくまで客観的事実のみを正確に伝えるにとどまる。神社の風情を保っているかどうかは、その捜査員の主観による表現であり、そもそも事件とは関係の無い情報である。老生が言いたいのは、この表現がよくぞ捜査報告書に残っていたな、という嬉しさである。この一節が、無味な報告書に華を添えていると感じる。