【公判調書1374丁〜】
昭和三十九年(う)第八六一号
強盗殺人等 被告人 石川一雄
昭和四十三年十一月十二日 右弁護人 中田直人 印
同 石田 享 印
●事実取調請求書
次の検察官手持証拠の提出を求め、その取調を請求する。
一、取調請求証拠
1. 野口清之凾の昭和三十八年六月二十七日付司法警察員梅沢茂に対する供述調書。
2.昭和三十八年六月二十八日付司法警察員上野俊幸、梅沢茂の捜査報告書。
二、立証事項(右二つの取調請求証拠共通)
1.昭和三十八年五月一日は三住神社(通称荒神様)のお祭りであり、当日流行歌(レコード)がスピーカーで流されていた事実。
2.被告人の自白調書によれば、荒神様の所では、「レコードがかかって流行歌等歌っていたのではないか」との原検事の問に対し、「それは聞きませんでした」旨答えており(被告人38・7・1原第二回調書一頁)、本件犯行当日被告人が荒神様の所を通ったとの自白が、客観的事実に反する虚偽のものであること。(続く)
*上記の1.と2には、地元で「荒神様」と呼ばれる三柱(みはしら)神社の祭りについて触れている。レコードがどうのこうのとやり合っているが、ではその祭りの写真を見てみよう。
えらい盛況ぶりに老生は昭和ノスタルジーに浸りかかるが、自己の、祭りに対する記憶を辿ると、なるほど音楽は祭りでは欠かせない演出であった事に気付く。夜半に、遠くから聞こえる騒がしい音を頼りに祭りの現場にたどり着いたものである。この写真は事件当時のものではないと思われるが、それに近い頃に撮影されたものであろう。このレコード問題はしかし、当日祭りに参加した者に話を聞けばその事実が判明したと思われるのであるが、何故、石川一雄被告人だけの供述を取り上げたのであろうか。
「普段の三柱神社(当時)」
二点の写真は「無実の獄25年・狭山事件写真集・部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部編・解放出版社」より引用。